2025年06月16日
広島大、シリコン量子ドットで4つの世界記録
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 広島大学は13日、先進理工系科学研究科(化学プログラム)と自然科学研究支援開発センター(研究開発部門)を中心とする研究グループが、世界トップレベルの発光効率(62%)を示すシリコン量子ドット(SiQD)を合成し、それを用いた記録的な性能をもつSiQD LEDの開発に成功したと発表した。

 本研究で開発されたSiQD LEDは以下の4項目で世界記録を樹立した。
(1) 変換効率 :16.5% :市販の有機EL(約20%)に迫る高効率
(2) 耐久性 :従来の記録の8.5倍
(3)低動作電圧 :従来の記録の1/5
(4)輝度性能:ペロブスカイト量子ドットLEDと同等レベル

 製造プロセスも簡便で、SiQD溶液と高分子溶液を塗布後、70~180℃で加熱・乾燥させることでデバイスを成膜・作製できる。さらに今回、量子ドットの分散溶媒がLEDの性能を大きく左右することを明らかにし、材料設計とプロセス最適化の新たな指針を示した。
 完成したLEDは遠赤色領域(波長750 nm)で発光し、植物の成長促進やがん細胞の破壊といった医療・農業分野への応用も期待される。