2025年06月17日
北大、オホーツク海南部氷縁域の氷盤分布観測に成功
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学 低温科学研究所の豊田威信助教らの研究グループは16日、オホーツク海南部海氷域氷縁域の氷盤分布の特徴を明らかにするとともに融解過程の仕組みを解明したと発表した。

 オホーツク海を含む世界の海氷域は現在、減少傾向にある。気候変動予測を行うためには、気候モデルの中で海氷融解を正しく再現する必要があるが、海氷の融解過程はまだ十分理解されておらず、最新の気候モデルでも融解期の海氷域の再現性は低い状況にあった。

 オホーツク海のような季節海氷域の後退を制御するのは氷縁域の融解速度。氷縁域には波によって破砕された氷盤が数多く存在し、これらの氷盤が春先の日射によって温められた氷盤間の海水から熱を効率よく吸収して一気に消失する。同じ海氷面積に対して氷盤が小さいほど海水に接する面積が大きいため、氷縁域の融解過程を理解するうえで氷盤の大きさや形状の実態把握が鍵となる。

 今回研究では、ドローンを用いてオホーツク海南部氷縁域の氷盤の統計的な性質を調べることにより、大きさ約1m以上の氷盤には自己相似性の特性があること、それ以下の氷盤は熱力学的な破砕効果が融解を促進する様子などの実態を明らかにした。これらの結果は汎用性があり、数値モデル化することにより融解期の季節海氷域の変動予測の改善に貢献することが期待される。
なお、本研究成果は5月31日公開の「Polar Science」誌にオンライン掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/06/post-1923.html