| 2025年06月24日 |
| 九大など、世界初健康寿命延伸の新しい可能性発見 |
| 【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
九州大学、東北大学、京都大学の研究チームは24日、トコンドリアの活性化によって世界初となる健康寿命延伸の新しい可能性を見出したと発表した。 体内のエネルギー需要と供給の不均衡は老化や加齢性疾患と関連していることが知られている。ミトコンドリアは生体のエネルギー通貨であるATPの供給を行うが、老化によってミトコンドリア機能が低下し、様々な細胞や臓器でATPレベルの低下が起こる。だが、ミトコンドリア呼吸を活性化し、低下した細胞内ATPレベルを回復させる薬剤は世界的にもほとんどなく、ミトコンドリア活性化薬の開発は挑戦的な研究テーマのひとつとなっている。 九州大学先導物質化学研究所の穴田貴久准教授ら研究グループは今回、新規核酸プロドラッグを設計・合成し、その機能評価を行った。開発したproAXをヒト線維芽細胞に添加すると、細胞内ATP濃度が24時間以内に濃度依存的に上昇し、最大で対照の約3倍に達することが確認された。また、proAX処理により細胞内のエネルギーセンサーであるAMPKが活性化し、脂肪酸酸化が促進された。さらに、有害な活性酸素の発生が抑えられ、細胞の酸化ストレス耐性が向上することがわかった。このプロドラッグを線虫に投与すると、線虫の平均寿命が24%延びることも見出した。 これらの研究は、老化によるエネルギー代謝の不均衡を調整する新しいアプローチであり、高齢化社会における健康寿命延伸や加齢性疾患予防につながる可能性を有する。 (詳細) https://www.kyushu-u.ac.jp/f/62137/25_0624_01.pdf |