2025年06月27日
北大・化石発見「イカは1億年前に誕生していた」
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 「イカ類は1億年前に既に誕生していた」とする研究結果が発表され注目されている。
 北海道大学大学院理学研究院の伊庭靖弘准教授らの研究グループは27日、岩石中の全ての化石を完全な形で取り出す手法を開発し、約1億~7,000万年前(白亜紀後期)のイカ類化石を大量に発見・分類して、その個体数や多様性の変動を解明したと発表した。

 イカ類は、無脊椎動物中で最も高い身体能力と爬虫類に匹敵する巨大脳をもつ、特異な進化を遂げた生物。これにより現在のイカ類は海洋全域で繁栄し、生態系や漁業を支える中核となっている。しかし、骨や殻を持たず、ほとんど化石として保存されないため、いつ誕生しどのように進化してきたのかは全く知られていない。このため、過去の海洋生態系の議論においてイカ類はほぼいないものと評価されてきた。

 今回、北大伊庭研究室は自身が開発したデジタル化石マイニング技術を用いて、これまで1個しか知られていなかったイカ類化石を263個発見した。この発見によって、大量のイカ類化石がこれまでmmスケールの微小化石として岩石中に隠れていたことが明らかになった。これはつまり、従来の古生物学手法の技術的限界が化石の発見を妨げ、生命進化史の解読を困難にしていたことを意味する。

 研究の結果、現生種に非常に近縁なものを含む40種が発見され、うち39種が新種だった。各種の年代分布からは、イカ類が約1億年前の白亜紀前期/後期境界付近で誕生し、その後700万年の間に爆発的に多様化したことが明らかになった。また、同じ岩石中に含まれる化石の数とサイズの比較から、イカ類が同時代のアンモナイトや魚類を超える、遊泳性生物中で最大の生物量をもっていたことが示された。白亜紀の海は、従来の定説に反して