2025年07月04日

東北大、加齢による造血幹細胞機序を解明

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：東北大学

東北大学幹細胞医学分野の田久保圭誉教授らの研究グループは4日、白血病などの造血器疾患の根治を可能とする造血幹細胞 (HSC) 移植の成功率が加齢とともに減少する原因の一端を明らかにしたと発表した。これまでHSC移植時のHSCの生着率が加齢に伴い低下することは知られていたが、その要因は明らかではなかった。 　骨髄では血球細胞により産生されるアセチルコリンを起点とした一酸化窒素 (NO) シグナル経路によって血流が保たれており、加齢によりその機能低下が見られることが判明した。 　教授らは今回、この要因として骨髄の局所血流・代謝に着目し、加齢による血流の減少に加え、血管拡張を担うアセチルコリンや一酸化窒素 (NO) を介するシグナル経路の減弱を認めた。このとき血液と血管壁の間に血流によって生じる力であるずり応力も、骨髄類洞血管で加齢により低下することがわかった。 　HSCの骨髄への生着におけるずり応力の役割を検証したところ、移植後HSCの生着効率の加齢による低下は、アセチルコリン-NOシグナル経路の加齢変化が一因であることが示された。同シグナル経路が高齢個体での移植効率の改善に向けた有効な治療標的となりうることが期待できる。 　本成果は7月1日付で学術誌「Nature Communications」に掲載された。 　 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/07/press20250703-01-cell.html