| 2025年07月22日 |
| 九大、世界初、窒素原子の自由な付け替え可能に |
| 【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
九州大学大学院薬学府の大嶋孝志主幹教授らの研究グループは、金属触媒・酸化剤・塩基を組み合わせることで、従来のような有害試薬や多段階操作を使わず、立体的にかさ高いアミンから温和な条件下でジアゼンを迅速に合成する触媒反応の開発に成功したと発表した。 アミンは、医薬品や天然物などの生物活性分子に広く含まれる基本構造であり、分子設計や創薬研究において重要な役割を担っている。 今回得られたジアゼンは、熱や光などの穏やかな条件で窒素分子(N2)を放出し、アルキルラジカルを生成する性質を持つ。このラジカル中間体を活用することで、炭素―窒素結合を炭素―ハロゲン、炭素―酸素、炭素―炭素など多様な結合へと自在に変換する脱アミノ化ラジカル反応が展開可能であることも明らかにした。 また、反応機構の解析により、これまで利用例の少なかった脂肪族アミン由来のアミニルラジカル種が反応中に生成していることが示唆された。これにより、アミニルラジカルを活用した多様な分子変換の可能性が今後さらに広がると期待される。 今後、創薬研究におけるリード化合物の迅速な構造最適化や、新素材開発における高機能分子の設計など、幅広い分野での応用が期待される。 同研究成果は、英国の科学雑誌「Nature Communications」に2025年7月7日に掲載された。 <用語の解説> ◆ジアゼン : 2つの窒素原子が二重結合で結ばれた化合物。加熱や光照射で窒素を放出しながら炭素ラジカルを生成できるため、ポリマーのラジカル開始剤として用いられている。 |