2025年07月28日
九大、C型肝炎ウイルスの排除 腸内環境回復に効果
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学農学研究院の中山二郎教授らの研究グループは28日、C型肝炎患者の腸内フローラを解析し、病期によって腸内環境がどのように変化するかを報告した。前回までの調査でC型肝炎は、病気の初期段階から腸内フローラが乱れはじめ、進行に伴ってその乱れ(dysbiosis)が悪化し、ウレアーゼという酵素をもつ口腔レンサ球菌が増加することをつかんでいた。

 今回研究では、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染している患者と、治療でウイルスを排除した患者について、腸内フローラ・便中胆汁酸・肝臓での胆汁酸をつくる酵素遺伝子の発現量を比較し、ウイルス排除後、腸内環境が健康な状態に近づくことがわかった。
 特に、有用菌とされるBlautia(ブラウティア菌)の腸内フローラでの増加が、肝線維化の改善や肝機能の回復と深く関連していることが明らかになった。また、より早い段階(慢性肝炎)で治療を受けた方が、腸内環境の回復も良好だった。

 これらの結果から、C型肝炎による腸内環境の乱れは、HCV排除によって回復可能であり、早期の治療が「腸と肝臓のつながり」の再生を導くカギになることが示された。

<用語の解説>
◆腸内フローラ :
 腸内につくられた微生物の生態系のこと。腸内には100兆個以上の細菌がすみついて、食事や体内でつくられた成分を利用してさまざまな代謝物を生み出し、健康の維持や病気の進行に影響を与えている。
 
ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1305