| 2025年08月26日 |
| 北大、NASA探査機が持ち帰ったサンプル分析結果 |
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北海道大学大学院 理学研究院の川﨑教行准教授らの研究グループは25日、米国航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「オサイリスレックス」が持ち帰った小惑星「ベヌー」から採取したサンプルを詳細分析し、「ベヌー」が非常に多様な起源を持つ原材料物質から形成されたことを明らかにした。 「オサイリスレックス」は、2023年に「ベヌー」の表面から約120グラムのサンプルを地球に持ち帰ることに成功した。持ち帰った「ベヌー」は、日本の宇宙航空研究開発機構の小惑星探査機「はやぶさ2」が探査した「リュウグウ」と同じく炭素質の小惑星だが、「ベヌー」の起源や、両小惑星の関係には不明な点が多く、実サンプルの詳細な分析が求められていた。 研究グループは今回、「オサイリスレックス」の初期分析プロジェクトとして、「ベヌー」のサンプルの化学・鉱物・同位体分析を実施した。その中で「ベヌー」は、太陽の前世代の恒星を起源とする鉱物や、太陽の近傍の高温環境(1,000℃以上)で生成された鉱物、また太陽系の遠方領域などの低温環境で生成された氷や有機物などの、多様な原材料物質で形成されていることを明らかにした。このことは「ベヌー」の原材料物質の生成環境の幅広さを物語っており、初期太陽系において物質の大規模な移動と混合があったことを示している。 このような原材料物質の特徴は「リュウグウ」と類似しており、「ベヌー」は「リュウグウ」と同じく、太陽系の遠方領域で形成された可能性が示唆された。 なお、本研究成果は、2025年8月22日、Nature Astronomy誌にオンライン掲載された。 関連ファイル: https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/250825_pr.pdf |