2025年08月28日
京大、最古の銅酸化物で新しい超伝導状態実現
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学理学研究科の石田憲二教授らの研究グループは28日、銅酸化物高温超伝導体の母物質として最も古くから知られている反強磁性絶縁体La2CuO4に対して、微量の酸素をドープすることで、超伝導転移温度が32ケルビンに達する超伝導状態を発現させることに成功したと発表した。
 これまでの銅酸化物高温超伝導体では、LaをSrやBaに元素置換することで反強磁性秩序を抑制し、超伝導を発現させていた。ところが、本研究で実現した微量酸素ドープでは反強磁性秩序がほとんど抑制されず、低温で超伝導状態と共存することが明らかになった。反強磁性と共存する超伝導状態は、多層型銅酸化物超伝導体や鉄系超伝導体などで報告されているが、伝導キャリアのほぼすべてが反強磁性に寄与するネール状態での超伝導はこれまで報告例はなかった。反強磁性と超伝導という二つの状態を同時に実現する銅酸化物高温超伝導の「二面性」が明らかになり、新たな研究展開の可能性が期待される。
 本研究成果は8月27日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載された。
 
 ニュースリリース参照
 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-08-28