| 2025年09月01日 |
| 東北大「ガラスは温度の上下繰り返しで若返る?」 |
| 【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学金属材料研究所の加藤秀美教授らの研究グループは29日、「ガラスは温度の上下を繰り返すと若返る?」とする研究結果を発表した。金属ガラスに液体窒素温度と室温の間を繰り返し上下させる「極低温若返り効果」を起こすことで電子状態が変化することが、放射光を用いた実験で明らかになった。 島根大学、広島大学、弘前大学、高エネルギー加速器研究機構なども研究に参加した。研究グループは、金属ガラスを対象として、液体窒素温度(およそ摂氏マイナス196度)と室温の間を繰り返し上下させることによる若返り効果によって、ガラスの電子状態が大きく変化することを、放射光を用いて明らかにした。 放射光を用いると、物質中に詰まった電子や空いている電子の状態を、元素やその電子軌道を区別して観測できる。 研究に用いた金属ガラスは重い希土類元素のガドリニウム(Gd)と軽い遷移金属元素であるコバルト(Co)からできている。これまでの研究で、Gd原子の直近の位置からやや離れた場所に若返りによって移動することがわかっていたが、電子状態を観測することができる4つの電子分光法(光電子分光、逆光電子分光、軟X線吸収分光、軟X線発光分光)を用いた今回の研究によって、Coの3d電子軌道に所属している電子の状態が大きく変化し、原子配列の変化に対応していることを明らかにした。この研究は、放射光を有効に用いて、若返りによるガラスの電子構造の変化を詳しく観測できることを示している。 この研究成果は、オランダ科学雑誌「Scripta Materialia」(8月26日付)に掲載された。 (ニュースリリース参照) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/08/press20250829-03-glass.html |