2025年09月03日

住友ゴムと東北大、タイヤの伸び可視化

【カテゴリー】：新製品/新技術 【関連企業・団体】：住友ゴム工業

住友ゴム工業は3日、東北大学と共同で、ポリイソプレンゴム内部の伸長結晶の分布をナノメートルスケールで可視化することに成功した。 　一般的にゴムを大きく変形させるとポリイソプレン分子鎖が引き延ばされて伸長結晶化が起こり、それがゴムの補強性に寄与すると考えられてきた。だが、この伸長結晶の空間分布を直接観察する技術がこれまでになく、伸長結晶の分布のコントールと補強性向上のヒントが得られない課題があった。 　今回、「試料を引っ張りながら透過型電子顕微鏡法( TEM )で観察する技術」と「スポット径がナノメートルサイズの電子ビームを走査しながら多数の電子回折図形を取得する技術」の2つの先端技術を複合的に用いることで、伸長結晶分布の可視化を実現した。 　今後、この研究成果をタイヤゴムの耐摩耗性能や耐破壊性能の向上につなげる。 　 　今回研究では、ポリイソプレンゴムとシリカ配合ポリイソプレンゴムを対象に、二つの最先端TEM技術を複合的に用いることで、伸長結晶化がどこで起こるのかをナノスケールで可視化することに成功した。シリカ配合ポリイソプレンゴムの内部ではシリカ粒子が凝集した凝集塊が存在するが、今回の観察の結果から伸長によって凝集塊が伸長方向に配列し、その配列構造に沿って伸長結晶化が起こっていることが分かった。 　EVの普及による車両重量増加や環境負荷低減の観点から、タイヤの耐久性向上が求められている。今回技術で、さらなる安全性と環境負荷低減への貢献を目指す。 　なお、同研究成果は国際学術誌「Nature Communications」（9月2日付）に掲載された。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1756866518.pdf