1999年10月22日
三菱化学、鹿島のBPAデボトルで年産10万トン体制構築へ~フェノール増設も検討
次期計画として鹿島増設、タイ進出のFS作業も最終局面に
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:新日鐵化学、三菱エンジニアリングプラスチックス、三菱化学

 三菱化学は、鹿島事業所において来年5月の定修時に、ビスフェノールA(BPA)設備のデボトルネックを実施、年産10万トン体制とする方針を正式に決めた。既存8万トン設備のボトルネック解消となるため、投資金額は数億円規模になるとしている。さらにもう一段の増設も本格検討を開始しており、鹿島での増設あるいは同社グループの三菱エンジニアリングプラスチックス(MEP)がPC(ポリカーボネート)製造を行っているタイでの現地生産化についてのFS作業も最終局面を迎えている。
 一方、原料となるフェノールについては、需給動向を見ながら鹿島の既存設備(18万トン)の増設も視野に入れて早急に結論を出すとしており、鹿島のBPA増強が完了する来年5月までには原料からの安定調達体制を構築する方針。
 同社は昨年5月に鹿島事業所においてBPA年産8万トン設備を完成、商業運転を開始したが、一部設備の不都合からフル稼働に至らない状況が続いていた。こうしたことから今年5月の定修時に手直しを実施、現在は旺盛な引き合いもありフル稼働状態となっている。
 また、同社と新日鐵化学などによる合弁の新日本ビスフェノールも今年10月に1万5千トンのデボトルを実施、現在は9万5千トン体制としているが、同社でも引き取り量増加をMEPの黒崎事業所への供給増大で対応している。
 同社のBPAは、子会社であるMEPグループのPC向けを中心とした供給体制の強化を進めているが、MEPでは黒崎事業所の既存2万トン設備を2000年中に2万トン増強をはじめ、韓国・三養社でデボトル、タイのTPP(タイポリカーボネート)で増設の検討をそれぞれ進めていることから、一段と供給量の増加が見込まれている。
 同社では、グループへの安定供給体制の構築を今後も進める方針だが、アジアの需給バランスに注視しながらフェノールからの一貫した生産体制の構築の時期を決めていくことになるとしている。

http://www.c-nt.co.jp/data/capa/bpa.htm target=top>ビスフェノールAメーカー別生産能力