2025年11月10日
九大など、植物の環境応答の新しい仕組み発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学理学部の楠見健介講師をはじめ九州工業大学、熊本大学、中部大学などの研究グループは、高窒素環境下で植物の根の生長を抑制する新たなメカニズムと制御因子を発見したと発表した。

 高窒素環境に置かれた植物では、アミノ酸の一つグルタミン酸がシグナル分子として地上部から根に輸送され、今回同定したペプチド LOHN1 の作用を介して側根の形成を抑制することが分かった。
 LOHN1遺伝子は陸上植物に広く保存されており、今回の成果は農地における作物の窒素利用効率の向上や生長促進への応用が期待される。

 植物は土壌中の窒素濃度に応じて根の構造を大きく変化させる。窒素が豊富な環境では「窒素が十分に存在する」と判断し、不要なエネルギー消費を避けるために根の生長を抑制するが、そのメカニズムは不明だった。

 研究グループは今回、シロイヌナズナをモデルに、高窒素環境で根の生長抑制に働くペプチドLOHN1と、このペプチドが関わるこれまで未解明の高窒素情報シグナル伝達のしくみを解明した。

 LOHN1遺伝子の発現を改変した植物を解析した結果、植物が高窒素環境に置かれると窒素代謝が促進され、その結果アミノ酸の一種であるグルタミン酸が地上部から篩管を通じて根の先端部へと運ばれ、そこでLOHN1遺伝子の発現を誘導することが分かった。さらに、発現したLOHN1ペプチドは篩管細胞から根の表層に移動し、側根(すでにある根から分岐して生じる根)の密度を抑制制御することが明らかになった。

 今回の知見は、他の多くの植物種にも応用が可能で、作物の窒素利用効率の向上や施肥に対応して根の生長を人為的に制御することが可能になると期待される。
 同研究成果は10月25日、米国の科学誌「Current Biology」オンライン速報版に掲載された。
 
 ニュースリリース参照
 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1356