2025年12月26日
広島大「ビオチン」を細胞へ届ける新手法
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:広島大学

 広島大学統合生命科学研究科の佐藤明子教授らの研究チームは、ビオチンを細胞に入りやすい形に改良した誘導体 (ビオチンメチルエステル: BME)を用いることで細胞内へのビオチンの迅速な誘導に成功したと発表した。

 人類に必須なビタミンの一種「ビオチン」は、卵白に含まれる「アビジン」と呼ばれるタンパク質と強く結合する性質を持つため、現在、さまざまなバイオテクノロジー技術に用いられている。

 ビオチンはナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター (SMVT) と呼ばれるタンパク質の働きで細胞内に取り込まれる。だが、多くの細胞でSMVTによるビオチン取り込みに時間を要するため、生細胞内へのビオチン投与を必要とするバイオテクノロジー技術が迅速に機能しないことを発見した。

 さらに、BME は細胞内でビオチンへと急速に加水分解され、細胞内のビオチン濃度を迅速に上昇させることで、バイオテクノロジー技術を改良できることを発見した。また、最近の研究から、SMVT の欠損が、マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症を引き起こすことが分かってきた。

 今回の研究は、BME がビオチンのプロドラッグとして機能することを示した。マルチビタミン反応性遺伝性代謝異常症患者への治療応用が期待できる。