2026年01月16日
東北大、植物のストレス反応スイッチを制御
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学大学院 理学研究科の上田実教授らの研究グループは15日、植物ホルモン「ジャスモン酸」の受容体に対して、特定のものだけを狙い撃ちできる「反応性アンタゴニスト(Reactive Antagonist=RA)戦略」を開発したと発表した。
 これにより、これまで数が多くて役割が重なり合い、見分けにくかった受容体1種類ごとの働きを、選択的に読み出すことが可能になる。
 植物の防御・成長バランスの精密制御や、新しい分子グルー(molecularglue)・分解誘導薬の設計など、農業・創薬の両分野への応用が期待される。

 植物ホルモンの一つで「ジャスモン酸」は、虫に食べられたり病原菌に感染したりしたときに働き、植物の防御反応を起動させるホルモンだが、ほかにも、乾燥や塩害、病原菌の感染、昆虫の食害といったストレスに対する防御反応や、花を咲かせるタイミング、背丈や根の伸び方など、成長や環境への適応をコントロールする「スイッチ」の役割を担っている。

 上田教授は、スペイン国立生物工学センターと共同で、植物ホルモン・ジャスモン酸を受容するCOI1ーJAZ複合体をモデルとして、標的とするJAZタンパク質をピンポイントで選び出す反応性アンタゴニスト(RA)戦略を開発した。

 RA は、標的JAZにあらかじめ組み込んだシステイン残基と共有結合することで、そのJAZだけに作用してホルモン応答を引き起こす一方、標的以外のJAZ によるホルモン応答を抑える。この「ジキルとハイド」のように二面性をもつ性質を利用し、13 種類あるJAZ のうち、任意の1種類だけの機能を選択的にONにすることに成功した。

 同成果は、「似たタンパク質がたくさんあって一つ一つの役割が分かりにくい」という生命科学共通の問題を解決する新しい技術として、幅広い応用が期待される。
 同成果は1月8日に英国科学誌「Advanced Science」のオンライン版に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/260115_pr2.pdf