2026年01月23日
九大、シカによるササ消失と土壌動物への影響
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:九州大学

 近年、日本各地で、個体数の増加したニホンジカの採食に伴い、ササ類などの天然林の下層植生の減少が指摘されている。シカの個体数増加により下層植生のササ類が消失し、土壌に棲む生き物を減少させることは分かっていたが、その影響の地域差については明らかではなかった。

 九州大学および福岡大学の研究グループは23日、九州山岳地域と山陰山岳地域という異なる気候条件下にある6箇所のブナ林を対象に、シカの採食によりササが消失した土壌・残存している土壌を用いて、土壌侵食と土壌環境、土壌動物(トビムシやダニなどの微小節足動物)の関係を調査した結果、土壌侵食はササの消失と気候条件の違いの影響を受けて発生しており、九州地方でより顕著に発生していたと発表した。

 また、土壌侵食の発生は土壌の硬さの指標である土壌容積重を増加させ、土壌動物が生息可能な空隙を減らすことを通じて、その個体数や分類群の数(多様性の指標)を減少させていることも明らかになった。
 土壌動物の個体数や多様性の劣化は、森林の養分循環などの機能にも影響を及ぼすと考えられる。
 同研究成果は1月7日付で国際学術誌「European Journal of Soil Biology」のオンライン速報版で公開された。

<用語の解説>
◆下層植生 高さの低い樹木の稚樹や、草本、灌木など森林の下層部を覆う植物の総称。
◆節足動物 昆虫やクモガタ綱、多足類など、硬い膜で出来た外骨格と関節をもつ動物のグループ。今回研究で対象にしたのは、体長2mm以下のトビムシやダニ、カニムシなど、ツルグレン装置という抽出装置で抽出された土壌微小節足動物。