2026年02月12日
九大、CO2とPETプラ、太陽光で同時変換
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の中村潤児特任教授らの研究チームは10日、CO2排出とプラスチック廃棄物という二つの深刻な環境問題に、単一のプロセスで同時に対処する画期的な光触媒システムを開発したと発表した。独自に設計した「ハイエントロピー酸化物」触媒を用いて、CO2とPETプラスチックを、光エネルギーだけで有用な化学製品に同時変換することに世界で初めて成功した。

 従来のCO2変換やプラスチックリサイクルのアプローチは、通常、一度に一つの汚染物質のみを処理し、エネルギー集約的であるうえ、機能させるために追加の化学試薬(犠牲剤)を必要とすることが一般的だった。この新システムは、CO2とプラスチックを相補的な反応パートナーとして利用することでこれらの限界を克服する。
 光によって生じた電子はCO2を還元し、同時に生じた正孔はプラスチックを酸化・分解する。これにより、むだな添加物を一切必要としない、相乗的で効率的な酸化還元サイクルが実現する。

 同技術の中核は、高圧ねじり加工により合成された新規多成分触媒(BaTiNbTaZnO9)となる。
 放射光X線分光法で確認された歪んだ原子構造は、異なる金属カチオンを組み込んでおり、可視光吸収、効率的な電荷分離、CO?吸着サイトを提供、複雑な二重反応の駆動を協調的に実現する。この太陽光駆動プロセスは、根強い環境汚染物質を削減するだけでなく、広く蔓延するマイクロプラスチックの分解への新たな有望な道筋も提供する。

 同成果は、環境負荷を価値ある資源へと変える、スケーラブルな「廃棄物から燃料へ」のコンセプトを確立するものとなる。持続可能な化学品生産と環境修復のための統合型光触媒プラットフォームに向けた重要な飛躍であり、循環型経済とカーボンニュートラルの目標に直接貢献する。
同研究成果は、Wiley-VCH社の学術誌「Small」(1月28日付)に掲載された。

■用語の解説
◇ハイエントロピー酸化物(HEO) 。五つ以上の主要金属カチオンをほぼ等モル比で含む新規セラミックス材料の分類。その高い配置エントロピーは、強化された耐久性や触媒用途における調整可能な機能性などのユニークな特性を持つ単一の固溶体相を安定化する。

ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1415