2026年03月17日
東北大「忘れる記憶と残る記憶」の違い解明
【カテゴリー】:行政/団体
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 麻酔を受けた時や脳震盪を起こした時、直前の記憶が部分的に失われることがある。この現象は逆行性健忘と呼ばれ、約200年前から研究されてきたが、記憶の一部だけが失われる仕組みは分かっていなかった。

 東北大学大学院 生命科学研究科の谷本拓教授らの研究グループは、ショウジョウバエの匂い記憶を逆行性健忘のモデルとして、記憶が部分的に消失する神経細胞内のメカニズムを解析した。

 記憶の形成には、神経細胞同士をつなぐシナプス(部位)の構造変化が深く関わっている。シナプスの中には、小胞と呼ばれる神経伝達物質を包む微小構造が多数存在し、それらは機能に応じて複数の小胞プール(集合)に分かれている。この微小構造を高精度に可視化する顕微鏡を用いて、麻酔や脳震盪により逆行性健忘を誘導させた個体では、特定の小胞プールが選択的に減少することを発見した。一方で、その影響を受けない記憶の維持には、別の異なる機能を持つ小胞プールが関与していることが分かった。

 さらに遺伝子操作によって、これら機能の異なる小胞プールの比率を人為的に変化させることで、麻酔や脳震盪の影響を受けにくい、より安定した記憶をもつハエを作り出すことに成功した。このことから、シナプス内の微小構造レベルで「忘れる記憶」と「残る記憶」が区別されることが明らかになった。同成果は2026年3月5日付で米国科学アカデミー紀要に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/03/press20260313-01-memory.html