| 2026年03月23日 |
| 北大、「超酸」の中でも発光し続ける色素開発 |
| 【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学院工学研究院の猪熊泰英教授らの研究グループは23日、濃硫酸をはるかに超える酸性度を持つ「超酸」の中でも分解せず発光し続ける蛍光色素「超酸耐性BODIPY」の開発に成功したと発表した。 BODIPY(ボロン-ジピロメテン)は、50年以上前に開発された蛍光色素の一つ。高い発光量子収率を有するため、細胞染色やセンサーなど幅広い用途で利用されている。だが、同色素には応用範囲を大きく制限する大きな弱点があった。つまり、酸性環境下でホウ素原子が脱離する「脱ホウ素化反応」によって蛍光発光が失われてしまう現象だ。このため、発光特性に優れながらも、強い酸性環境では使用困難と考えられてきた。 研究グループは、三つのピロールを含む環状分子構造とホウ素原子の相互作用がシナジー効果を生み、結果として高い酸耐性が発現することを見い出し、この構造にBODIPY骨格を組み込むことで超酸耐性BODIPYの合成に成功した。 得られた超酸耐性BODIPYは、既存のBODIPYが10分以内に発光を失う硫酸や超酸中でも脱ホウ素化反応を起こさず、鮮やかな蛍光発光を1日以上維持することが確認された。 さらに、この超酸耐性BODIPYは官能基化によって発光色を変化させられるほか、酸性環境でのみ発光するセンサーとして機能することも明らかになった。同色素は、従来のBODIPY色素では染色が困難だったNafionビーズや強酸性イオン交換樹脂の蛍光染色を可能にしたほか、近年環境への影響が懸念されているPFAS(有機フッ素化合物)の一つであるパーフルオロオクタン酸(PFOA)の蛍光検出にも応用できることが示された。 本成果は今後、強酸性の極限環境における蛍光イメージングやセンシング技術の新たな展開につながることが期待される。 本研究成果は3月19日公開の「Nature Communications」誌にオンライン掲載された。 (詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/260323_pr.pdf |