| 2026年03月27日 |
| 九大、有機発光ダイオードの効率向上 |
| 【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:九州大学 |
1つの光子から2つの励起子を生み出す「シングレットフィッション(SF、一重項分裂)」は、従来型の太陽電池の理論限界を突破し、有機発光ダイオード(OLED)の効率を向上する夢の光変換技術として期待されている。 今回研究では、そのSFによって増幅した励起子を光エネルギーとして抽出するためにスピンフリップ発光体と呼ばれる「d電子系金属錯体」を活用する新しい手法を開発し、従来系の理論限界(100%)を大きく超える約130%の量子収率を達成した。今後太陽電池の効率向上が期待される。 太陽光エネルギーの効率的な活用戦略として、光吸収により生じる一重項励起子が分裂して2つの三重項励起子が形成されるSFが注目され、世界中で研究されている。分裂後の三重項励起子から電子を取り出せば、原理的に光電変換効率200%を達成できるものの、分裂前の一重項からのエネルギー損失過程が競合するため、変換効率を最大化することは困難。そこで分裂後に生じる励起三重項エネルギーを高効率に受け取る分子が求められていた。 今回、九州大学大学院工学研究院の君塚信夫教授らは、d電子系金属錯体であるモリブデン錯体をエネルギーアクセプターとして活用し、SF後の励起子からのスピン状態選択的なエネルギー移動を、溶液系において実現した。モリブデン錯体の近赤外発光を用いた定量評価より、一般的な三重項増感の限界を超えた約130%のモリブデン励起二重項収量を確認するとともに、SF後のスピン量子もつれ三重項対(Triplet pair)からの三重項エネルギー移動過程の寄与を明らかにした。これらの結果はモリブデン錯体のようなd電子系金属錯体が、SF後の増感効率向上に適した分子群であることを示しており、将来的に従来限界を超えた効率を示す太陽光発電や発光ダイオードへの応用が期待される。 同研究成果は3月25日、米国の国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン掲載された。 |