| 2026年04月08日 |
| 工学院大など、アルミナをガラス状材料に形成 |
| 【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東北大学 |
工学院大学と物質・材料研究機構( NIMS )を中心とする研究チームは8日、京都大学、名古屋大学、日本電子、東北大学、島根大学、岡本硝子などとの共同研究により、従来「ガラスにならない」と考えられてきた単一成分酸化物である酸化アルミニウム(アルミナ)について、室温の高圧プロセスにより、ミリメートルサイズの透明な非晶質(アモルファス)の塊(バルク)を合成することに成功したと発表した。 得られた試料は、高い熱伝導率や硬さを示す。また誘電率が約3と、代表的な結晶相であるα‐Al2O3(サファイア)の誘電率(約10)を上回ることを示した。 アルミナは化学的安定性や絶縁性に優れることから、電子材料やコーティングなどで広く用いられ、産業分野を支える基幹材料と位置づけられている。一方で、ガラス科学の観点ではアルミナはガラス形成能を持たず、通常の溶融法ではガラス状態のアルミナ(非晶質アルミナ)を塊として得ることができなかった。 今回、研究チームは、電気化学的に作製した多孔質非晶質アルミナ薄膜(アルマイト)に対して、室温で高圧(4 GPa:9万4千気圧)を印加することで、粒子界面や孔を消失させ、透明なバルク体へと一体化させた。 固体核磁気共鳴分光、放射光X線回折、中性子回折、構造モデリングを組み合わせた解析により、非晶質アルミナの主要構造単位が、八面体から酸素頂点が一つ欠けたような5配位ピラミッド(AlO5)であること、加圧によってAlO5の変形とAlO6八面体の増加が進み、両者が稜共有で連結した、通常の非晶質には見られない高密度な構造が形成されることを明らかにした。これにより、電場に対して応答しやすい局所構造が形成され、高い誘電率の発現につながるというモデルを提案した。 本研究で示した「高圧力で、原子の配位環境(短距離構造)とその連結性(中距離構造)を制御し、物性を引き上げる」概念は、一般化できる可能性が高く、今後、誘電特性に加えて熱・機械特性を含む総合的な設計指針の確立を目指す。 同研究成果は4月7日に米国化学会「Journal of the American Chemical Society」に掲載された。 |