2002年02月28日
中央化学、使用済みPSPトレーの完全リサイクル化技術を開発
世界で初めての還元モノマー技術を生かして
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:中央化学、東芝、三井物産、NEDO、ポリオレフィン等衛生協議会

 プラスチック製食品包装容器の大手メーカーである中央化学は28日、使用済みPSPトレーをバージンレジンの製品と同等の物性や安全衛生性などを持つリサイクルトレーに再生する技術の開発に成功したと発表した。
 
 この技術は、スーパーや生協などの量販店と協力して市中から回収した使用済みPSPトレーを特殊な装置でモノマーに還元し、継いでそのモノマーをポリマーに変えたあと再度PSPシートを経てトレーに戻すというもの。同トレーをスチレンモノマーに還元して再生利用する技術の開発は世界でもこれが初めて。
 同社によると、再生されたトレーは、包装機械適性などの物性や外観、さらには食品に対する衛生安全性等あらゆる面でバージンレジンによる製品と同等の性能を持つという。衛生上の安全性に関しては、日本食品衛生協会による材質試験と溶出試験を通して食品衛生法ならびにポリオレフィン等衛生協議会の自主基準に適合する点を確認ずみだとしている。
 今回の技術は、東芝プラント建設が三井物産とともに新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の開発助成事業の適用を受けて取り組んできた廃棄ポリスチレン製品のモノマー還元技術の開発に協力してきた中で確立されたもの。東芝プラント建設と三井物産は山梨県石和町に年間処理能力1,000トンのモノマー化実証設備を設置して昨年6月いらい実証試験中のところ。中央化学が開発した技術は、この再生モノマーを、ポリマー化を経てトレーなど加工製品に再利用していくためのいわばモノマー化リサイクルシステムの仕上げの役割を果たすプロセスといえる。
 同社では、このリサイクルトレーを、NEDOが東京・有楽町の国際フォーラム展示ホールで3月4~5日に開催する「実用化開発成果助成事業・成果展示会」に出品する。なお同社は、かねてから使用ずみPSPトレーの回収・リサイクルに積極的に取り組んでおり、平成2年度から13年度までの11年間で合計3万2,357トン(約808億9,500万枚)のトレーを再生している。