1999年09月29日
大同特殊鋼、英蘭シェルとエチレン精製装置用熱分解反応管の改質技術を開発
シェルは蘭で実体試験後に独/米/サウジなどのエチレン設備に順次設置予定
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:なし

 大同特殊鋼は28日、ロイヤルダッチ/シェル グループとの共同研究の結果、エチレン精製装置向け熱分解反応管の改質技術の開発に世界で始めて成功した、と発表した。大同特殊鋼の技術を石油化学に応用したもので、熱分解反応管の内面炭化固形物の密着防止に成功、PTT(PPW Technology Tubeの略、商品名)の売買契約を締結する。なおシェルは、オランダでの実体試験を経て、ドイツ、アメリカ、サウジアラビアなどの新設備および更新炉に順次設置していく計画。
 大同特殊鋼とシェルは、素材技術分野において石油化学の新世紀に向けた新素材の開発に約5年前から取り組んでおり、過去2年間大同特殊鋼の技術者は、独自の特許技術PPWを背景に、シェルの技術者とエチレン精製設備に用いられる熱分解反応管の炭化物の密着を防止する技術開発を進めてきた。エチレン精製時の熱分解工程では、管状の反応盧にナフサなどの原料と水蒸気の混合ガスを送り、800~1,100℃の高温で加熱分解するが、この分解反応時に炉管内に炭化物(コーク)が堆積するため、定期的に除去する必要があった。これまで化学処理皮膜法、遠心鋳造の二十管法、圧延のクラッド・パイプ法などが検討されてきたが、採用には至らず、過去10年間は決定的な技術の進歩がないのが現状。このため両社は、高温かつ炭素濃度の高い環境下で、高熱効率、耐コーキング性、耐浸炭性、長寿命などの品質要求を満たし、炭化固形物を防止する、新しい熱分解反応管を製造するための共同開発を進めていた。
 試作の結果、炭化固形物の清掃間隔を従来の40~50日から60~80日まで延長可能となったほか、反応管内炭化固形物の密着が防止でき、従来岩石状になっていた炭化固形物が泡状となり熱効率の大幅な向上が見られた。また炉管自体の寿命も6~10年と従来の2~3倍に伸ばすことが期待され、シェルも「10年待っていてようやく巡り会えた製品」と高く評価している。
 シェルは、今回のパイロット試験結果をもとにオランダのエチレン設備で実体試験を行った上で、ドイツやアメリカ、またサウジアラビアなどの新規エチレン設備や更新炉に順次設置することを計画している。全世界のエチレン設備用のチューブ消費量は1999年で3億ドル(約330億円)と見られ、このうち80%以上が更新需要、残る20%未満が新規需要と推定されているが、大同特殊鋼では当面15%のシェア獲得を目指すことにしている。なお販売ルートについては、当面シェル経由の販売を基本とすることで合意している。