1999年09月29日
旭化成、フェノール系高性能断熱材「ネオマフォーム」を事業化
米オーエンスコーニング技術ベースに開発/従来比約2倍の性能
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:旭化成、旭化成建材

 旭化成工業は28日、グラスファイバー・ポリスチレンフォームなど建築資材大手の米オーエンスコーニング社から導入した基礎技術をベースに、オゾン層破壊をもたらさないオゾンセーフガスを使用したフェノール樹脂の発泡体で、従来のプラスチック系断熱建材の2倍近い性能を有する新断熱建材「ネオマフォーム」(商品名)の開発に成功、2000年10月に事業化する、と発表した。昨年からパイロットプラントで試験販売を行っていたもので、これにともない茨城県猿島軍境町に工場を建設し、旭化成が製造、旭化成建材が販売する。
 プラスチック系断熱建材の発泡剤には、代替フロン(HCFC)の転換が課題となっているが、その反面断熱性能の低下などの問題があり、なかなか進展していないのが現状。一方、現在は住宅などの民生部門でも抜本的省エネ対策の推進が急務となっており、今年3月には次世代省エネ基準も告示されるなど、これまで以上に高性能かつ長期的に性能が低下しない断熱建材が必要とされている。
 今回新たに開発したネオマフォームは、オーエンスコーニングの基礎技術をベースにフェノール樹脂をオゾンセーフガス(HFCとHCの混合ガス)により発泡させる技術と、微妙な反応温度のコントロールで微細な気泡と高い独立気泡率を実現した。このため既存製品に比べ2倍近い断熱性能と、長期的な熱伝導性の維持が可能となっている。このほかガスバーナーで放射しても炭化するだけで炎上しない、また火災燃焼時にも有毒なシアン化水素の発生がないほか、一酸化炭素の発生も軽微で、今後準不燃認定の取得も予定している。さらに現在は、グリーンガスへの転換技術の開発を進めており、2000年中には技術を確立する見通しとなっている。
 旭化成は断熱材事業を21世紀のコア事業と位置付けており,既存の発泡ポリエチレン建材「サニーライトフォーム」に加え、次世代高性能建材として今回の技術の事業化を決定したもの。2000年10月の販売開始に向け、今年10月から総工費50億円を投じて、茨城県に年産1,000万平方メートル規模の工場の建設に着手する。ネオマフォームは、高い断熱性能に加え、プラスチック系断熱建材の課題となっていた火災に対する安全性(耐燃焼性)が高く、かつ断熱性能の経時劣化の少ないことを特長で、建築用途を中心に2004年度には100億円の売上高を計画している。