2000年07月04日
三菱化学、CTOにMITの化学工学科教授を起用
技術開発室・知的財産部担当の常務執行役員に就任
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:ジャパンエナジー、千代田化工建設、デュポン、三菱化学、化学工学会

 三菱化学は4日、技術開発室・知的財産部担当の常務執行役員(CTO)にマサチューセッツ工科大学(MIT)化学工学科教授のジョージ・ステファノポーラス博士を起用することにしたと発表した。わが国の化学業界で海外から常勤役員を迎えるのはこれが初めて。任期は2年。この間、同博士はMITを休職する。また、シェル、ICI、デュポンなどの企業と続けてきたコンサルタント業務は打ち切る。同博士は、2年後は復学することになるが、その後も何らかのかたちで三菱化学の技術開発活動の拡充を手伝っていきたいとしている。
 今回三菱化学が同博士の起用に踏み切ったのは、「中期経営計画の主眼である“世界で戦える高収益グループ”の実現には“技術立社志向”が不可欠であり、その狙いの達成には、化学工業分野における世界有数の研究者として知られ、合わせて世界的視点で化学の将来を展望する目も持つステファノポーラス博士を迎え入れることが最適と判断した」(正野寛治・同社社長)ためという。
 今後同博士は、三菱化学グループ全体のR&TD(技術開発)について現状の評価・解析を行ったうえで、今後の戦略を取締役会に提案しながらその実現のための実行計画を取りまとめるとともに管理していくという重要な役割を果たしていくことになる。

 発表の席上ステファノポーラス教授は、「三菱化学の経営基本方針は、グループ全体のR・D・E(研究開発とエンジニアリング)を、世界的なレベルにおける競争力ある技術開発集団とし、グループのビジネスの国際的な規模での持続的な成長実現の推進力としていくことにあるので、このビジョンの実現のために微力を尽くしたい」と述べ、使命の達成のための目標を次のように明らかにした。

(1)三菱化学のR&TD部門をグループ各企業の事業目標に合致させ、さらに拡大していけるようにする。
(2)R&TD部門を通じ、グループ内の様々なビジネス間にシナジー効果を発揮させ、顧客ニーズに応えるとともに新製品を開発、グループ全体の付加価値チェーンを強化することで、連結ベースの収益性を高める。
(3)ビジネスアライアンスを通じて他の企業の知的財産を利用しつつ、現在や将来におけるグループの知的財産を、ビジネス拡大の源泉に転換する。
(4)グループ全体のR&TD部門が、コーポレートのR&TD目標に対し、迅速で、融通性、責任があり、かつ効果的な対応ができるよう運営していく。
(5)三菱化学グループが、科学、技術、エンジニアリングにおいて、他の化学会社に対し別格の優位性を持たせるようなR&TDプログラムを明確にする。
(6)世界の一流大学・研究所・国際的規模の新しいベンチャー企業との連携網を常にオープンに保つ。
(7)三菱化学グループとして、最高の人材を採用、革新的人材に諮問し、全R&TD活動において最高水準を維持するとともに、高品質の労働条件と研究機会を提供する。
(8)三菱化学グループのR&TDセンターに、積極的で成長重視型、外向きの文化風土を維持、育成する。

<ジョージ・ステファノポーラス教授の略歴>

[大学職歴]
1974-1977年 ミネソタ大学(米国)化学工学科助教授
1977-1980年    同           準教授
1980-1983年    同            教授
1980-1984年 アテネ国立工業大学(ギリシャ)教授
1984-現在  マサチューセッツ工科大学化学工学科教授
1984-1989年 化学工学科教授(J.R.メアス)
1987-現在  プロセス工学インテリジェントシステム研究所ディレクター
1989-1993年 化学工学科教授(リーダーズ・オブ・マニファクチャリング)
1992-現在  化学工学科教授(アーサーDリトル)

[最近の受賞歴]
・ロシア科学技術アカデミー外国会員(1991年)
・米国化学工学会、化学工学コンピュータ賞(1993年)
・第14回欧州サイバネティックスとシステム研究会議、デザインとシステム部門最優秀論文賞(1998年)
・ナショナルアカデミー・オブ・エンジニアリング会員(1999年)

[技術評価委員会]
・三菱化学 ・ダウケミカル

[企業コンサルタント等]
・コンウェッド社 ・コントロールデータ社 ・UCC社 ・エクソン社 ・ICI社 ・千代田化工建設 ・ギリシャ経済研究計画センター ・モダー社 ・シェル社 ・アスペン テクノロジー社 ・デュポン社 ・NASA ・三菱化学 ・メトバ社 ・ハネウェル社 ・イーストマン コダック社 ・モービルR&D社 ・ジャパンエナジー