2000年03月23日
独バイエルグループ、1999年業績は減収増益~純利益24%増
アグフア上場に伴う利益が貢献/2000年も順調な滑り出し
【カテゴリー】:人事/決算
【関連企業・団体】:バイエル、ライオン

 独バイエルグループの1999年業績は、売上高が273億ユーロと前年を2.6%下回ったものの、営業利益は6.4%増の34億ユーロを記録した。また2000年についても1~2月の売上高が前年同期比20%増と順調な滑り出しを見せている。
 営業利益の増加のうち、アグフアの株式上場による利益(10億ユーロ)のほか、リストラ関連特別費用(6億4,600万ユーロ)などが目立っている。また税引き前利益は前年を1億ユーロ上回る28億ユーロを記録しており、同社は1株当たりの配当を1.02ユーロから1.30ユーロへ増配することを4月28日の年次株主総会で提案する予定で、配当支払は総額9億4,900万ユーロ、6期連続の増配となる。
 グループの継続事業の売上高は7.9%増の252億ユーロ、特別損益計上前の営業利益は3.8%減の28億ユーロとなった。この減益は多額の追加的費用と研究開発費の戦略的拡大(18.2%増の21億ユーロ)によるものと説明している。
 地域別にはアジア/アフリカ/オーストラリア地域が最も高い成長を記録、売上高は31億ユーロと29%増加しており、同社ではアジア経済危機が収束したことを示唆するものと見ている。また北米地域もヘルスケア事業分野を中心に高い成長を示し、売上高は77億ユーロと15%増加した。これに対しヨーロッパ地域の売上高は、128億ユーロと2%増にとどまった。またドイツでは内需の伸び悩みの影響を受け、ドイツ・バイエル社の売上高は2%減少、営業利益は15%減少した。
 売上高を事業部門別に見ると、ヘルスケアは19%増の84億ユーロ、農業関連製品は6%増の31億ユーロ、高分子材料が6%増の93億ユーロ、化学品が37億ユーロとほぼ横ばいだった。ヘルスケアは医療用医薬品の売上高が50億ユーロ強と15%増を記録、世界市場の伸びの2倍近い成長となっている。また昨年カイロン・ダイアグノスティックス社を買収したことで診断薬事業も17億ユーロと55%増加しており、2000年には同分野で世界第3位のサプライヤーとなる見通し。同社は、ヘルスケア事業部門の売上高利益率が2002年までに20%以上になると予想している。また高分子材料は、今後特にアジアにおける事業に重点を置きながら世界的な能力増強に注力していく方針。
 同社は昨年、米ライオンデル社のポリオール事業買収やアグフア、ダイスターのスピンオフ、ドイツに所有する不動産の売却など、大規模な事業体制の最適化に取り組んだ。この結果、4つの事業分野において、中核的な事業に経営資源を集中することが可能になるとしている。なお2001年第2四半期には、バイエル株式をニューヨーク証券取引所に上場することを決定、今年秋から上場に向けた準備を開始する。