2000年02月18日
出光石油化学、高機能加工品事業で2社を分社・独立
技術立脚型事業の柱として育成、3年後めどに収益拡大
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:出光テクノファイン、出光ユニテック

 出光石油化学は18日記者会見し、高機能加工品事業で2社を分社・独立する、と発表した。一つは、同社の樹脂加工製品事業を製造子会社のユニ化工と統合して発足させる「出光ユニテック」、もう一つは同社のプロテインプラスチックス事業とバイオケミカル事業の統合による「出光テクノファイン」。ユニテックは4月1日、テクノファインは3月21に設立する。営業開始日はともに4月1日。
 出光ユニテックに至る歴史を見ると、出光石化は1967年(昭和42年)に溝ノ口加工試験所(現製品研究所)開設してプラスチック加工技術の研究開発に取り組み、加えて1984年(昭和59年)には製造会社のユニ加工を設立、以来独自の製品設計・加工技術を生かしてさまざまな樹脂の持つ特性もフルに生かしたガスバリアシート、多層ポリオレフィンフィルム、ポリプロピレン系スパンボンド不織布などの機能性加工製品を相次いで開発・上市してきた。当初は食品包装分野を中心に事業を展開、次いで環境対応製品として、高透明ポリプロピレンシートや高透明・軟質ポリオレフィンシートを戦列に加えて非食品包装分野にも進出するなどで事業の拡充を図ってきた。
 今回発足の新会社は、多層型押出し、結晶コントロール、二軸延伸、精密異型押出し、長繊維押出しなどの特徴ある技術を活用しながら、製販一体化にともなう機動力のある差別化製品の専門集団としての発展を目指す。
 一方、出光石化テクノファインは、プロテインプラスチックス事業と、バイオケミカル事業の2つを柱とする。プロテインプラスチックス事業は、1989年(平成元年)にスタート、独自の微粉化技術をベースにミクロンオーダーでパウダー化したシルクやコラーゲンなどの天然素材を合成樹脂と複合することで天然の質感や風合いを持つ車両用・家具用レザー、衣料素材など生活関連商品を中心に事業を展開してきた。
 またバイオケミカル事業は、石油タンパクの製造研究を通じて培った微生物発酵技術を出発点とし、1984年(昭和59年)に新規プロジェクトとして発足、現在はブドウ糖などの天然原料を用い、ガンマ-リノレン酸や生菌剤などの発酵製品を健康食品や化粧品原料、飼料添加物分野に販売している。
 さらに微粉化技術の新規応用展開として、自動車座席シート廃材(ウレタンフォーム)のリサイクルシステムの研究開発を進めており、今後同システムの販売を始めとした環境関連ビジネスへの参入、ガンマ-リノレン酸のヘルスケアシステム分野への展開などを目指していく。
 出光石油化学では従来の石油化学とは異なる2つの事業を統合、分離することで、迅速かつ弾力的な経営を目指す方針。このほかそれぞれ特長を持った2つの技術の組み合わせにより、新たな分野への進出にも力を入れていく。

○山本侑・同社社長の談話=当社はこれまで、汎用石油化学製品事業と機能製品事業とを同時並行的に育成・強化してきた。うち汎用石油化学製品事業については、徹底したコスト削減によって国際競争力を強化することに多くのエネルギーを傾注している。
 一方の機能製品事業の場合は、特殊化成品、エンジニアリングプラスチック、高付加価値加工製品の三つの部門がいずれもさいわいに黒字を計上できているが、さらに強力な体制を整える必要があると判断して今回二つの新会社を発足させることにした。その狙いは次の3点に集約できる。すなわちその一つは、特殊・高付加価値製品特有の市場にフレキシブルに対応していける体制を整えることにあり、二つ目は連結決算の時代に相応しいより強力な出光グループの体質作りにある。そして、当社員全ての起業家精神をもう一段高めることが三つ目の狙いとして挙げられる。
 それだけに今回の新会社の設置の持つ意味は大変に大きい。ついては関係各方面の皆さんに強力なご支援をお願いしたい。

 なお、2社の概要は下記の通り。

http://www.c-nt.co.jp/news/unitech.html">出光ユニテック
http://www.c-nt.co.jp/news/technofine.html">出光テクノファイン