2000年02月14日
三菱電機、衛星用に炭素繊維強化材料を試作
ピッチ系を用い高い寸法安定性を実現
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:なし

 三菱電機は9日、衛星構体など向けに適した高寸法安定材料を開発した、と発表した。最近実用化された超高熱伝導のピッチ系炭素繊維を強化材として用いた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を試作で、衛星機器や衛星構造システムなどに使うことで、厳しい宇宙環境下における衛星システムの性能向上や衛星構造システムの軽量化に貢献できると見ている。
 衛星システム事業の拡大が続く中、現在衛星機器や衛星本体に用いられる材料にはより高度な技術力が求められるようになっている。通信衛星システム分野では通信容量の増加、また地上端末の小型化実現のために衛星側の高出力化が要求されるが、このためには搭載機器の発熱を効率よく宇宙空間に逃がす熱拡散能力が重要なポイントとなる。また、高解像度・高精度が要求される観測衛星システムでは、 観測機器や衛星本体が熱により膨張・変形し、観測にずれを生じさせないためには、熱に対する高寸法安定性が求められる。
 従来、衛星用主要材料には強度・剛性が高く、また熱による歪みも小さい炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が使われてきたが、金属材料に比べ熱伝導性が悪いという問題があった。同社では最近実用化された超高熱伝導のピッチ系炭素繊維を強化材として採用、衛星構造に関する自社ノウハウを組み込んだ独自の配向設計技術により、熱伝導性・熱に対する高寸法性・強度ともに優れた理想的なCFRPを試作したもの。ピッチ系は、石炭や石油精製の副産物であるピッチを原料とした炭素繊維で、これまでのPAN(ポリアクリルニトリル)系炭素繊維に比べ高い熱伝導性を有している。これを衛星機器および衛星構造システムに適用することにより、厳しい宇宙環境下における衛星システム性能の向上、衛星構造システムの軽量化に寄与できる。
 主な特長は、(1)純銅を大きく上回る熱伝導率で従来比10倍以上の高い寸法安定性、(2)独自の配向設計技術により宇宙環境での使用を実現したことの2点。同社は適用分野として、衛星構体、光学センサー、アンテナリフレクタをはじめとした衛星搭載機器を挙げているほか、リニアモータ用の熱遮蔽板、UHV仕様の変圧器用熱拡散材、産業用ロボットアーム、携帯電話用熱拡散材など一般民生分野への適用も可能と見ている。
 今回開発されたCFRPを表皮材としたヒートパイプ埋め込みパネルが、2003年に打ち上げが予定されている宇宙開発事業団の技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)のアースパネルに適用される見通し。なお同社は、今回開発した材料について合計9件の特許を出願済み。