2000年01月28日
中央化学と京王電鉄が使用済み定期券でベンチを開発
新宿など主要駅に3月までに200基設置の計画
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:中央化学

 プラスチック製食品容器のトップメーカーである中央化学は京王電鉄と共同で使用済み定期券を原料の一つに使った駅ベンチの開発に成功した。わが国では初めてのこと。
 これに伴い京王電鉄では、1月19日から新宿、府中、聖蹟桜ヶ丘など京王線の主要駅にこのリサイクル・ベンチ「エコベンチ」の設置を開始している。当面、3月までに200基設置する計画。その後も順次設置個所を増やしていく考え。
 今回両社が共同開発したリサイクル・ベンチは、芯材の一部(約20%)に使用済みの定期券(PET製)を利用している点が大きな特徴。ベンチ一基当たりに使われる使用済み定期券は約1,000枚。重量にしておよそ1.4キログラムという。また、この「エコベンチ」には、定期券だけでなく使用済み食品トレーなどの廃プラスチックも構成材料に活用されている。
 ベンチのサイズは、幅1,600ミリメートル、奥行き610ミリメートル、高さ750ミリメートル。重量は約21キログラム。価格は一基約8万円で、従来の木製品の1割安とのこと。強度は既存の木製品と同じであり、破損した場合は再びリサイクルできる点が強みといえる。
 使用済み定期券をベンチ芯材に生かすに当たっては、始めに定期券の表面の印刷塗料や裏面の磁気膜を植物性の薬品で落として白色シートに変え、そして粒状に加工したあとサンドイッチ射出成形法で他の材料とともに最終製品に仕上げる方法を取る。
 中央化学はプラスチック製食品容器のリサイクルに最も意欲的に取り組んでいるところとして知られる。使用済みトレーと廃タイアを組み合わせた舗装材や、ベンチ、筆記用具などのマテリアルリサイクルのほか、燃料還元や原料還元のケミカルリサイクルなど豊富なノウハウと実績を持っている。
 一方の京王電鉄も、使用済み定期券の名刺への再利用や、使用済み切符のトイレットペーパ-および植木鉢へのリサイクルなど環境対策を積極的に進めている。