2000年01月24日
鐘淵化学工業、チッソのPVC商権を譲り受け50万トン体制に
高砂では6万トン設備を新設、VCM見合いの生産体制を確立
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品
【関連企業・団体】:新第一塩ビ、住友化学、大洋塩ビ、チッソ、東亞合成、東ソー、トクヤマ、日本ゼオン、三井化学、三菱化学

鐘淵化学工業は、チッソのPVC(塩化ビニル樹脂)販売商権を4月1日をめどに譲り受けることで合意、チッソ水島工場に年間7万トン程度の生産委託を行うことを決めたが、高砂工場においても年産6万トン設備を新設、これにより既存の38万5千トン設備を加え、PVC年産50万トン体制を確立する。
 チッソとの提携は4月1日をめどに販売窓口を同社に一本化、それまでの間にチッソの既存ユーザーへの理解を得ることで、円滑な商権移管の実現を図る。また、今回の提携は商権のみで、チッソのいかなる債権・債務を引き継ぐものでなく、生産活動にしても同社が関与しないとしている。チッソ側では将来的には五井工場、水俣工場の生産を水島に集約するものとしているが、両工場では特殊グレードの生産が多く、移行までにはしばらく時間を要するものと見られている。なお、チッソの水島工場は、昨年春に重合缶をそれまでの50リューベ4基から100リューベ2基に入れ替えを実施しており、競争力の強化を実施している。
鐘淵化学工業は電解・VCM(塩ビモノマー)・PVCの一貫メーカーとしての強みを生かし、コスト・品質両面での競争力の強化を推し進めている。とくにPVCでは設備のリニューアル・大型化による生産性の向上を目指し、能力の増強を行ってきた。東日本では鹿島工場に18万5千トン、西日本では大阪工場でのPVC生産を高砂工場に集約、20万トン体制としていたが、昨年にはさらに6万トンの新設備の増強を実施している。今回、チッソのPVC販売商権を獲得することにより、VCM60万トンに見合ったPVC生産体制の構築が完了することになる。
現在塩ビ業界は、構造的問題の解消、国際競争力の強化からトクヤマ、日本ゼオン、住友化学による新第一塩ビ、東ソー、三井化学、電気化学による大洋塩ビの誕生、三菱化学と東亞合成が提携するなど、プレイヤー数の減少、アライアンスが進んでいる。今回の両社の提携により一段と業界の体質改善の機運が高まることが予想されており、各社の動向が注目されることになる。