1999年12月08日
神戸製鋼所、ステラケミファと濃縮ボロン生産技術を共同開発
2000年秋めどにステラケミファ泉工場で商業生産
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:なし

 神戸製鋼所は7日、ステラケミファとの共同開発により、中性子遮蔽材や臨界制御材などに用いられるボロン-10を濃縮し、大量生産する技術を日本で初めて確立した、と発表した。今後のの需要動向を見極めた上で生産体制や設備投資額などを固め、2000年秋をめどにステラケミファ泉工場(大阪府泉大津市)で年産数トン規模の商業生産を開始する予定。
 天然のボロン(ホウ素)には、質量数(陽子と中性子の合計)の違いによりボロン-10とボロン-11の2種類の同位体(用指数が同じで中性子数が異なる)が存在する。このうち自然界に発生するボロンー10の構成比は約20%とされている。このボロンー10にはボロン-11や他の元素と異なり中性子を吸収する能力が極めて高いという性質があるが、ボロン-10の濃度を高めることでその吸収性能をさらに向上させることが可能となる。今回確立した技術を用いると、この2種類のボロン同位体を工業的に分離し、ボロン-10の濃度を95%以上まで濃縮することができる。
 濃縮ボロンは、これまで用途が特殊なことから需要も限られ、国内では商業生産が行われておらず、大量生産のための技術的なノウハウもない上、国際的にも実質米国メーカー1社の独占供給の状態にあった。
 神戸製鋼所は、使用済み燃料の輸送・貯蔵容器のトップメーカーであり、中性子遮蔽材用に濃縮ボロンを使用しているが、調達コストが高い、安定品質や納期管理の面で不安がある、さらに輸送・貯蔵容器の需要が今後増大する見通しであることなどから、濃縮ボロンの自社生産化の可能性について、1994年から本格的な検討を進めてきた。その後濃縮ボロンの生産に不可欠なフッ素化合物の生産販売大手であるステラケミファとともに、1998年7月から年産100キログラム規模のパイロットプラントで共同開発を実施、今回化学交換蒸留法による商業生産のめどがたったもの。
 濃縮ボロンは今後、現在加圧水型原子炉の反応度の抑制に使用されている天然ボロンの代替需要や、放射線医療用を初めとした新規用途など広範な需要が見込まれており、自社使用に加え積極的に外販も行っていく考え。