1999年12月02日
住友化学、インド企業グループの農薬製造部門を買収
2000年夏をめどに家庭用殺虫剤原体設備を改造
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:住友化学

 住友化学工業は1日、農業化学事業のより一層のグローバル化と競争力強化、また販売拡大のため、インドのニュー・ケミー・インダストリーズ・グループの殺虫剤原体製造部門の株式の90%を買収することで合意した、と発表した。今後設備を一部改造、2000年夏をめどに家庭用殺虫剤原体の生産を開始するほか、引き続き農業用農薬の生産も行う計画。
 住友化学は、農業化学事業についてこれまで日本からの輸出販売に加え、海外の主要市場に販売・開発会社を設立するなど、事業の国際的な拡大を進めてきた。また研究開発活動についても、アメリカやフランスの現地法人で試験圃場、マレーシアでは家庭用殺虫剤の研究所を設置するなど、グローバル化対応に取り組んできている。さらに今後の一層の競争力強化と為替リスクの影響を極小化するため、海外製造拠点の設立を検討してきた。 インドは、今後も人口の伸びや生活水準の向上により、農業用・家庭用とも殺虫剤需要の大きな成長が期待される巨大市場であり、住友化学も最重要市場の一つに位置付けている。しかし、インド国内では、最近ジェネリック品(特許切れ後発品)の工業化が活発化する一方、化学品に対する輸入関税率が40%と高いため、昨今の円高の状況下では日本からの輸出を継続するよりも、現地生産化するほうが経済効果が極めて高い状況にある。また近隣国市場の成長率も高く、これらの国々への輸出も含めインドに製造拠点を持つことは戦略的意義が大きいと判断、ニュー・ケミー・インダストリー・グループの農薬部門買収を決定した。
 今後住友化学は、製造設備の一部改造を実施、2000年夏をめどに家庭用殺虫剤原体の生産を開始する計画で、これに続いて農業用農薬の生産も手がけていく方針。家庭用殺虫剤原体の事業規模は当初10数億円程度と考えているが、2~3年後には農業用農薬や中間体の増設により数10億円規模に拡大する見通し。