2002年06月19日
新発足の次世代モバイル表示研究組合「プラスチック化でコスト半分以下に」
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:住友ベークライト

 「次世代モバイル用表示材料技術研究組合」は18日発足したが、理事長に選出された住友ベークライトの山岡重徳専務は総会後記者会見し「最先端の技術で、国際競争力のある製品を開発していきたい」と語った。
 
 研究開発の狙いは、携帯電話やモバイル用パソコンなどに使われている、ディスプレイ基板をプラスチック化し、「ロール・ツー・ロール」でプラスチック基板の上に液晶機能を創り込んでいくという、新しい方式の開発。これによって、軽量化や大幅なコストダウンを実現する。

 現在のモバイル用液晶フィルムは、上下2枚の偏光板の間に、2枚の位相差板と2枚のガラス基板をはさみ、透明電極や配向膜、カラーフィルターなどを貼り合わせた構造をしているが、このガラス基板を高機能のプラスチックフィルムに置き換える。ガラス基板の場合、製法はバッチ式だがプラスチック化すれば「ロール・ツー・ロール」で、フィルムを巻きとりながら、その中にさまざまな機能を取り込ませていくことが可能となる。
 
 フィルムの厚さは、いまの製法だと最も薄いもので0.6ミリ程度だが、プラスチック化すれば0.2から0.4ミリまで薄くできる。軽量化でき、割れるなどの心配もない。コストは従来法の半分以下になる見通しだ。
 
 研究テーマは、大きく「プラスチック素材の開発」と「生産システムの確立」の2つに分けられるるが、いずれも簡単ではないようで、プラスチック素材は「これから見つける」といっている。要求される物性が厳しく、耐熱温度は350℃以上、膨張係数、耐湿性などに非常に優れていること、などが必要条件になるという。ポリシリコン系が有力と見られているが白紙のようだ。
 
 技術開発の課題として、プラスチックフィルム基板の高機能化要素をはじめ、フレキシブルカラーフィルター要素、ロール・ツー・ロールパネル化工程のための材料要素、プラスチック基板への高性能TFT創りこみのための基盤要素技術開発などが具体的にあがっている。
 
 山岡住ベ専務は「参加10社はそれぞれ得意な技術をもった一流企業ばかりだ。互いにノウハウを出し合えば、世界一高性能で低コストの製品と、生産技術の確立は十分可能だ。有機ELも念頭に入れていきたい」と話している。