2002年07月09日
三井化学、富良野市等への生分解性プラ袋の納入を開始
グリーンプラ」の識別表示品では初の大量採用
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:ソニー、三井化学、生分解性プラスチック研究会

 三井化学は5日から、北海道の「富良野地区環境衛生組合」に対して、生分解性プラスチック製ごみ収集袋の納入を開始した。
 
 これは、同組合を構成している富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村の各自治体が家庭から排出される生ごみのたい肥化を計画し、その実現に必要な生ごみ収集袋を分解性と安全性に優れるポリ乳酸を主成分とする生分解性プラスチック製の袋に切り替えることにしたことによるもの。一般市民が他の材料による袋と識別しやすいように、生分解性プラスチック研究会の識別表示制度による「グリーンプラ」のマークを1枚ごとに印刷して納入している。製品のサイズは縦、横とも400ミリ。容量は20リットル。

 当面の納入数量は17万7,500袋。同組合では、数ヵ月間を試験期間としてこれを無料で家庭に配布し、この専用袋に詰められた生ごみを袋のままコンポスト装置に投入してたい肥にしていく。たい肥化は10月からのスタートを予定している。三井化学以外の企業も若干量を納入していく。
 同組合の現在の生ごみの収集量は年間約7,000t。これまでは全量を焼却処理してきた。しかしこれからは、全てを有機資源の効率的活用を目的にたい肥化していく計画で、本格的な活動が始まれば、年間およそ200万袋の生分解性プラスチック製袋が使用されることになる見通し。来年春から全量を対象にしたたい肥化が始まる見通し。これが軌道に乗れば、全国の自治体の間で同様の計画が相次いで打ち出される可能性がある。
 
 今回同組合が採用に踏み切った生分解性プラスチック製の収集袋は、三井化学が提携先の米・カーギル・ダウ社から輸入したポリ乳酸樹脂(商品名・レイシア)を製膜・製袋したもの。通常の使用環境下では十分な強度を保持するが、トウモロコシなどの穀物や植物が原料なので、土中・たい肥中では微生物の作用によって短期間で分解する点が大きな強み。すでに、NTTドコモが家庭に発送する料金請求書の封筒の透明な“窓”に本格採用されているほか、ソニーのミニディスクの外装フィルムや小規模のコンポスト用袋などにも使用されて人気が急上昇している。