2002年08月19日
ANの需給、10〜11月はアジア中心に品不足が必至
日・韓の定修の集中で供給力が大幅に縮小
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:なし

 AN(アクリロニトリル)メーカー筋の調べによると、ANの世界全体の需給バランスは今年10月から11月にかけて品不足が必至の見通しとなってきた。
 
 これは、需要がAN繊維向けやABS樹脂向けを中心に着実に増えると予想されるのに対して、総生産量が米・スターリング・ケミカルスの長期操業停止と定修の集中とで大幅減となるのが確実になってきたため。中でもアジア地域の品不足は深刻なものとなりそう。
 
 同業界大手の調べによると、全世界のANメーカーの設備能力の合計は、ネームプレートベースで年産581万2,000tとなっている。しかし、スターリングが長期運休状態にあるので、実生産可能能力は545万2,000tということになる。この場合の1ヵ月平均の生産能力は、45万4,300ttとなる。
 ところが、同じ1ヵ月でも、10月から11月にかけての約1ヵ月は世界全体で定修ラッシュとなるため実生産量が大幅に縮小する見通しにある。
 現在判明しているだけでも、10〜11月に定修・運休する設備は合計9基を数える。9基合計の月間生産能力は10万8,800tである。総能力に対する縮小率は23.9%で、残る生産能力は34万5,500tに縮小する。
 
 一方の今年の総需要量についての大手の予想は、前年を3%強上回るおよそ500万tとなっている。月間平均では41万7,000tとなる。この予想通りにいくと、10月から11月にかけての1ヵ月の需給バランスは、7万1,500tの供給力不足となる。需要に対する充足率は82.9%にとどまる。
 
 日本を含むアジア地域ではさらに深刻な事態となりそうだ。アジア地域の定修・運休プラントは6基と多く、その合計能力は年69万t、月5万7,500tに達する見通しだ。総生産能力は年210万4,000t、月平均は17万5,300tなので、予定通りに定修が実施されると縮小率は33%弱の高率となる。残る設備能力は月11万7,800tに縮小する。
 対する月間平均需要推定量は、約20万tとなっている。したがって、この場合の充足率は60%弱となる。
 うち、日本の場合は品不足がもっとひどくなる見通しだ。10〜11月の1ヵ月の生産能力は、通常の期間の6万5,800tから3万5,800tに減る。縮小率は実に45.6%にも達する。月平均の需要見通しは5万3,500tなので充足率は67%にとどまる。
 このためAN業界では、各社とも選別出荷に踏み切らざるを得ないとしており、その影響が需要業界にどのように出てくるかが注目される。