2002年11月26日
稲畑社長が会見、特色と機能を生かしての成長を強調
コンパウンド事業等で海外拠点の売上も大幅に拡大
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:稲畑産業

 稲畑産業の稲畑武雄社長は25日都内で記者会見し、同社の業績の概況と当面の見通しを説明、合わせて今後の経営課題についても所信を披露した。
 
 この中で同社長は、今期の業績について「機能製品が国の内外で大きく伸びているため連結ベースでも単体でも売上高と営業利益がともに前年を上回る見通し」順調な回復ぶりを強調。一方、今後の事業展開については「今後も引き続き当社のもつ特色と機能をフルに生かして機能製品を中心に据えた新しいタイプの商社として成長していきたい」と発言し、国の内外の新しいニーズにきめ細かく対応しながら発展していきたい考えを示した。
 
 稲畑社長の発言要旨は次の通り。
 ▽現在の業績は、大型パネル市場向けの偏光板や自動車部品用コンパウンド、さらには高機能フィルム等々の機能製品が国の内外でともに大きく伸びているため売上高も営業利益も前年を明らかに上回るペースで推移している。特に情報電子部門とプラスチック部門の業績が内外ともに大きく拡大している。これに伴い今期の売上高は、連結で前期比7.3%増の2,900億円、単体で同8.6%増の2,200億円となる見込みだ。一方の営業利益は、連結で同61.2%増の21億5,000万円、単体で同32.3%増の10億円--となる見通しにある。また、全体に海外の売上が大幅に拡大している点も最近の業績好転の大きな促進材料といえる。
 
 ▽今後も引き続きどの部門でも機能製品を大きく伸ばしていくようにしたい。情報電子部門では、液晶、半導体関連のケミカル製品や装置・材料に関するトータルソリューションを幅広く市場に提供していくことを重要課題に掲げていきたい。ケミカル部門の重要テーマは、機能樹脂原料や自動車部品用ケミカルなどの機能商品を拡充すると同時に、一層グローバルな展開を図ることだ。
 プラスチック部門については、自動車部品用やデジタル家電向けを中心とした高機能樹脂と食品包装用の機能フィルムをグローバルに育成することが最大のテーマといえる。フィルム全体の2分の1が機能フィルムで占められるようにしたい。
 ▽
 事業全体でいえば、海外における売上高と利益の拡大が大きな経営課題だ。現在の構成比率は国内2に対して海外が1だが、できるだけ早く1対1にしたい。ついては、中国や東南アジア諸国で自動車用コンパウンドを大きく伸ばしていくとともに、情報電子材料や食品向け機能性フィルムの事業も思い切って拡充していく考えだ。
 
 ▽経営全体の課題としては、(1)マーケット知識など専門知識を生かした企画・提案力の強化(2)マーケティング、製造、物流などの複合力を生かした顧客とのパートナーシップの強化(3)国内外のアライアンスを生かした自社企画商品の拡充--の3点が挙げられる。 こうした点を基本にして、情報電子、ケミカル、プラスチック、住環境、食品に経営資源を集中していく。また新規分野としては、健康食品を含む医薬・医療周辺やリサイクルなどの環境ビジネスの開拓を目指していきたい。
 さらに中長期には、「特色と機能のある新しい商社像の構築」「売上よりも収益重視」「日本と四つのリージョンのターゲットを明確化」--の3点を着実に実現していきたいと考えている。