2002年12月09日
東ソー首脳が会見、「厳しい環境下でも安定収益得る体質に」
あらゆる観点から総点検し、経常利益率5%以上の確保を
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:オルガノ、クレハ、大洋塩ビ、東ソー

 東ソーの田代圓会長兼CEOと土屋隆社長は6日記者会見し、東ソーならびに同社グループ全体が現在取り組んでいる体質強化策の進捗状況を説明、合わせて当面の重点課題についてもそれぞれの所信を明らかにした。
 
 この中で田代会長は、始めに東ソーグループ全体の体質強化の現状について「オルガノの連結子会社化やエフテックの全額出資会社化、さらには日本ポリウレタン工業への出資率の引き上げなど様々の施策の展開で着実に進展している」と説明、続いて、主力事業部門の今後の課題に話を移して「機能商品事業のより一層のグローバルな展開や、塩ビ業界全体の再編の流れも十分に視野に置いてのビニルイソイシアネートチェーンの強化などが重要」と述べ、グループ全体の収益力の改善にさらに思い切った手を打っていきたい考えを示した。
 
 また土屋社長は、かねてから取り組んでいる事業構造改革の進捗状況について「おおむね順調に進んでおり、課題の多くは目標をクリアできつつある」としながらも、「経営環境が一段と厳しくなっているので、“コストが会社の得る利益・サービス・効用等の対価として適切かどうか”をあらゆる観点から総点検しているところ」と、引き続き収支バランスの改善に挑戦している実情を紹介した。また、当面の経営課題に関しては「最悪の環境下でも対売上高経常利益率を5%以上に持っていくことが最重要課題」と強調し、「幹部職の完全年俸制の活用や、“進化する企業”の意識の徹底などで着実に目標を達成していきたい」と力説した。
 
 両首脳の発言概要は以下の通り。
 [田代会長の話]
 ○グループ全体の体質強化は、オルガノを連結子会社に加えたこと、東ソー・ファインケムに続いてエフテックも全額出資会社にしたこと、さらには日本ポリウレタン工業に対する出資比率を8.3%増やして35%にしたことなどで順調に進展している。
 オルガノの連結子会社化は、単にグループの売上高の拡大にとどまらずグループ全体の環境関連ビジネスの拡充にも大きく寄与していくことになると期待している。エフテックの全額出資会社化は、グループ全体の有機合成品や機能商品のビジネスのこれまで以上のグローバルな展開を促進することになる見通しだ。また、日本ポリウレタンとの関係の一層の緊密化は、従来の“ビニルチェーン”を“ビニルイソシアネートチェーン”に拡充して塩ビ関連ビジネスをより効率的に展開していけることになるという点でも大きな意味がある。ついては、、東ソー本体が一酸化炭素の生産設備を04年6月に南陽に建設して日本ポリウレタンのMDI事業の競争力強化支援していくことにもしている。(6日のニュースリリースを参照)
 ○一方、大洋塩ビについていえば、収益性の一層の改善が引き続き最重要課題となっている。ついては呉羽化学からのPVC事業の譲渡の効果も十分生かしていきたい。さらには、PVC業界全体が再編の動きを一段と強める傾向にある点もきちんと視野に収めて、パイプ業界ともども体質改善に積極的に取り組んでいくようにしたい。
 ○要は、いかなる環境下でもきちんと利益を確保していける体制をグループ全体で早急に構築していくことだ。
 
 [土屋社長の話]
 ○かねて取り組んできた事業構造改革はおおむね順調に進んでいる。改革の5つの柱、すなわち機能の分社化、連結経営の強化、要員の削減、財務体質の強化、経費の恒常的削減--計5項目について掲げてきた目標は何とかクリアできそうだ。
 ○ただし、経常利益は01年度が112億円であったので、これを150億円に引き上げるためさらなる努力が必要だ。経営環境が予想以上に悪化しているので少々の努力や工夫では到底目標をクリアできない。そこで現在は、“コストが社の得る利益・サービス・効用等の対価として適切なものかどうか”を基本に返って点検し直し、必要な対策を立案・実行していこうとしているところだ。新たに導入した幹部職の完全年俸制や、新設した購買・物流、修繕費、機能分社、研究開発--等のワーキンググループもフルに生かして早期実現を図りたい。
 ○この実現に当たって全社員が目指すべき企業イメージは「豊かな収益力を持つ企業」「進化する企業」「全社員が能力を出し切っている企業」--の3点だ。「進化する企業」の中でいう“進化”とは何かだが、私は“各人が新市場開拓など様々な点についてどんどん新しい提案をし、そして確実に実行していくこと”だと考える。
 ○一方、個別の事業の今後の展開については、MMA原料であるTBAの新規企業化、当社が得意とする高機能ポリエチレンのさらなる育成、石英やスパッタリングターゲットなどのスペシャルティ製品の国際レベルでの充実強化、技術レベルの一層の向上による診断薬事業のグローバルな拡充--などを重要テーマに掲げていきたい。PVCの中国での展開に関しては、来年早々にビジネスモデルを確立したいと考えている。