2002年12月11日
化合物の有機EL発光素材で開発競争
イリジュウム錯体に顔料、染料メーカーなど
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東洋インキ

 顔料、染料、香料、農薬などのメーカーが有機EL(エレクトロルミネッセンス)の発光素材の研究開発に力を入れている。有機ELは携帯電話やカーナビの表示装置・ディスプレイなどに実用化が進んでいるが、その発光素材の寿命がまだ5,000時間ていどと短いため、TVなどのディスプレイ用としては技術開発に時間がかかるとみられている。
 
 こうしたなか、米国プリンストン大学が発光素材にイリジュウム化合物(錯体)を使って発光効率を3倍に高める技術を開発したことから、色素、色材を手がけるメーカーが“化合物”に注目しはじめたもの。
 
 プリンストン大学の発光素材は「三重項発光」と呼ばれるもので従来のインジュウム・すず系などに比べ発光効率が高く、寿命も長くなるといわれる。この三重項発光は正孔(陽極)と電子(陰極)が結合して励起1重合する最大25%の発光(けい光発光)に対して、正孔と電子が三重項(結合)し、75%(りん光発光)発光する。この結果、効率100%(理論値)の発光が達成されることになる。
 
 一重項発光では効率25%の発光のあと75%を熱としてのがしていた。有機ELの発光素材には低分子系のインジュウム・すずのほか高分子系のフェニレンビニレンがあるが、プリンストン大の技術は低分子、高分子を問わないといわれる。
 
 イリジュウム系化合物については顔料系、染料系などのいずれの発光効率が高いか、いまのところ見極められていない。顔料は鉱物系で水に溶けない、染料は化合物で水に溶けやすいといった特性をもつ。しかし、顔料が何らかの形で化合物のような物質に変わることがあるかも知れないという期待もある。
 
 結局、電気を加えて発光させる物質をどうとらえるかだが、色素に電気を加えてエネルギーの高い状態をつくる励起現象がポイント。色素電子材といった新しい化合物の開発が待たれているようである。
 
 これらの研究については住化、大日本インキ化学、保土谷化学、東洋インキ製造、高砂香料などが先行している。