張瑞敏・中国ハイアール社長が次期重点方針を語る

現地ニーズでデジタル展開、「革新とスピード」基本に

 

「ハイアール」(海爾)グループ

CEO(最高経営責任者) 張瑞敏・社長

 中国の急成長を代表する「ハイアール」(海爾)グループ。そのCEO(最高経営責任者)である張瑞敏・社長が12日、日本で初めて記者会見を行った。張氏は1984年に赤字続きの青島電機冷蔵庫総廠(ハイアールの前身)の社長に就任、当時の売り上げ348億元(約4,500万円)を03年には806億元(約1兆2,800億円、中国の電子メーカー売上高ランキングで2年連続トップ)へとふやした。米フォーチュン誌の「アジアで最も勢いのある経済25人」(04年9月)にも選ばれている。同社の経営の基本は「革新とスピード」とし、これまでの経過と今後の取り組みを大要、以下のように語った。
 
 ハイアールは冷蔵庫、エアコン、洗濯機などの“白物家電”で中国最大手(世界第4位)となった。欧米にも進出した。日本企業とは三菱重工業、三洋電機や東芝、日立製作所、富士通などと技術提携し、2002年には三洋ハイアールを設立して、販売提携も行った。他の企業とも80年代に提携した。技術だけでなく、経営の精神が重要と考えている。「ものは人にあるが、ことは天にある」というわけだ。
 
 そこで社長に就任した当時、もの不足で作れば売れる時代だったが、品質への意識を高めた。不良だった76台の冷蔵庫をハンマーで壊すということもやった。工場は荒れていて、窓ワクも無い時代(木製の窓ワクを従業員が燃料用に持ち帰える)だった。
 
 次の重点的な取り組みだがデジタル家電では日本と差がある。とくに情報家電やIT家電で遅れている。米国、イタリアにはすでに工場があるが、むづかしいところから攻めるということで日本へもチャレンジしている。しかし、日本の家電はいろいろと細かい。欧米に次いで中東にも工場をつくり、現地のニーズに対応していきたい。
 
 エアコン、冷蔵庫のデジタル化ははじまったばかり。ノートパソコン、電話機、IT家電は技術の「核」が立ち上がらないとやれない。日本とは合弁方式で進めたい。PDP、液晶は韓国、台湾との合弁も考えている。ハイアールとしては次世代テレビなどは、たとえば台湾の企業と提携し、当社のブランドにのせ市場に投入したい。多国籍企業として世界でわたりあって行くよう取り組む。
 
 なお、ハイアールを映画化した「CEO」(12月中旬から日本で上映)の監督・ウー・ティエンミン(呉天明)も張社長の会見に同席し「2002年にハイアールを訪れ、社員に接するうちに同社の企業文化に熱くなり、企業活動そのものを映画化した」と語った。