2001年03月27日
保土谷化学と東ソー、ICI所有の日本ポリウレタン株を全株取得
60億円を投じて南陽工場でMDIを40%増強、20万トン体制を構築
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:東ソー

 保土谷化学工業と東ソーは27日、子会社の日本ポリウレタン工業について、25%出資している英ICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ・ピー・エル・シー)の保有株式を30日までに全株取得することを決定した、と発表した。この結果、日本ポリウレタンへの出資比率は、保土谷化学73.3%、東ソー26.7%となる。また、アジア地域におけるポリウレタン事業を強化するため、日本ポリウレタン・南陽工場において、60億円を投じてMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を増強、最終的に年産20万トン体制を構築する。
 日本ポリウレタンは1960年にポリウレタン原料および誘導品の製造販売会社として設立、1962年には塩素などの原料ソースがある東ソー・南陽事業所隣接地に工場を建設、日本で初めてTDI(トルイレンジイソシアネート)を量産化した。その後、東ソーおよびICIが資本参加し、イソシアネートの生産・販売規模ではトップメーカーとなっている。
 今回のICI所有株式取得とともに、今後も年率10%近い成長が期待されるアジア市場におけるポリウレタン事業強化のため、現在でもアジア最大規模のMDI年産14万トン設備を40%増強、最終的に20万トン体制に拡大する計画を打ち出した。まず第1期計画として、2002年をめどに3万トン増強し、年産17万トンに引き上げる。
 親会社の東ソーは、ポリウレタンの主原料である塩素やユーティリティを日本ポリウレタンに供給、日本ポリウレタンで副生する塩酸ガスを同社の塩ビモノマー原料として有効活用している。東ソーは年産100万トンを超えるアジア最大の電解設備を持っている。特に南陽事業所は電解設備(83万トン)や発電設備(67万kW)などを有し、日本ポリウレタンのコスト競争力にも貢献している。また、同社は、エチレンアミン誘導品であるウレタン発泡触媒で、世界トップクラスのメーカーでもある。
 一方、保土谷化学は、ポリウレタン、弾性繊維の原料であるポリオール(PTMG)事業やウレタン系防水材をはじめとした建材事業、日本ポリウレタンの主原料で密接な関係がある受託合成事業などをコア事業としており、日本ポリウレタンとの連携強化は不可欠となっている。
 なお、東ソーは、保土谷化学工業の筆頭株主で、21.4%を保有している。