2018年06月11日
東工大と東北大など「温めると縮む材料」合成成功
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東京工業大学 フロンティア材料研究所の東正樹教授、東北大学の山本孟助教らの研究グループは11日、「温めると縮む材料」の合成に成功したと発表した。体積収縮の割合は8.5%で、これまでの材料の中で最大の体積収縮を示す「負熱膨張材料」であることも分かった。

ほとんどに物質は、温度が上昇すると、熱膨張によって長さや体積が増大する。光通信や半導体製造装置などの精密な位置決めが求められる局面では、わずかな熱膨張が問題になる。そこで、昇温に伴って収縮する「負の熱膨張」を持つ物質によって構造材の熱膨張を補償(キャンセル)するような設計が行われている。

現在、市販品の体積収縮の割合は1.7%程度。今回発見した材料は8.5%でこれを大きく上回る。2016年12月に名古屋大学の研究グループが、層状ルテニウム酸化物の結晶体が6.7%の体積収縮を示すことを発見し注目された。だがこれは空隙の多い材料組織に由来するもので、材料自体の本質的な負熱膨張ではなかった。

今後は、光通信や半導体分野で利用される熱膨張抑制材としての活用が期待できる。

同研究の成果は、ドイツの応用化学誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版で近く公開される。