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1999年08月11日 |
PTAなどポリエステル繊維原料、強含みの展開続く |
中国、需要入りでポリエステル国内市況も上昇 |
【カテゴリー】:海外 【関連企業・団体】:なし |
原油、ナフサなどの高騰を受けて値上げ交渉が続いているパラキシレン(PX)、高純度テレフタル酸(PTA)のアジア市況だが、ここへ来て中国の繊維産業が需要期に入ったことからポリエステル短繊維を中心に強い引き合いとなっており、交渉決着後は、一段の価格修正が行われる可能性が強まっている。現在の中国の短繊維国内価格は、輸入品がトン約7,800元で取引されているが、8月下旬については300元アップの8,100元がオファーされている。 原料についてもアジア市場ではPTAがC&Fトン・460ドル、一方のエチレングリコール(EG)も530ドルを巡っての攻防が続いているが、中国でも国内メーカーがPTA約4,600元、EG約5,400元を打ち出しており、ほぼ浸透してきている。こうした強含みでの展開はしばらく続いていくものと見られており、とくにPTAではPXが2Q価格を当初の50ドルアップから80ドルアップの430ドルを期中変更して打ち出したことから一段の値上げが打ち出される公算が強まっている。ただ、PTAメーカー側では「急速な価格上昇はポリエステル市場の混乱をもたらす」としており、急激な上昇を避けたいとの声も出ている。 PTAのアジア市況は、95年には各国でのポリエステル重合設備の相次ぐ稼動によって需給タイト化から上昇、3Qには1,700ドルに高騰した。しかし、実需を超えた新設が集中したことから過剰設備状態となり、一転して過剰在庫が表面化、一年後の96年3Qには510~550ドルと三分の一以下にまで下落している。その後600ドル台での推移が続いたが、98年のアジア各国での経済危機により再び軟化し、今年に入って300ドル台と過去最安値水準となっていた。こうした状況から、PTAメーカー各社では最適な価格体系の構築を進めたいとしているものの、以前の経験から急速な価格上昇は反動があるとして、緩やかな上昇を望む声が広がっているもの。しかし、PXメーカーでは原油価格がWTI・20ドルと年初に比べ2倍に急上昇していることから、今回の値上げ後でも採算的に厳しいとして、更なる価格修正を求めるとしており、いかにしてポリエステル市場を混乱させずに秩序のある価格体系が構築できるか、原料から末端メーカーまでの動向に注目が集まっている。 |