2004年01月14日
三菱ガス化学と大塚化学、ヒドラジン事業統合へ
公取委「情報遮断」を条件に事前承認
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ガス化学、公正取引委員会

 三菱ガス化学、大塚化学の両社は、水加ヒドラジン事業を統合するため、共同出資による製・販一体の新会社を設立する構想を進めてきたが、このほど公正取引委員会から「独禁法上問題なし」との事前承認を得た。このため両社は、近く新会社設立に向けて具体的準備に入る。
 
 ヒドラジンは、塩基性の無機化合物で、強い還元力をもっている。水との親和性が高く、通常は水和物の「水加ヒドラジン」として流通している。用途は合成樹脂発泡剤が約4割を占めるほか、空調設備、ボイラーなどの循環水処理剤、金属還元剤、医農薬中間体などとして使用されている。
 
 国内生産量は年間約1万5,000トン、市場規模は約20億円とみられている。メーカーは三菱ガス化学、大塚化学両社のほかには日本カーバイドなど1〜2社しかなく(日本ヒドラジンは三菱ガス化学の子会社で、リセール及び誘導品を生産)、市場シェアは三菱ガス化学が約45%で国内トップ、大塚化学は約35%で同2位となっている。統合後のシェアは80%に達する。
 
 しかし、水加ヒドラジンの需要はこのところ減少傾向にあり、世界的に供給過剰となっているだけでなく、最近は中国を中心に安価に大量生産されるようになり、輸入業者による市場参入も活発化している。一方、国内ではPRTR法など環境対策面から他の代替品に転換する動きがユーザーの間に出てくるなど、水加ヒドラジンをめぐる事業環境は厳しさを増している。
 
 このため公取委では、水加ヒドラジンの川下市場において競争関係にある大塚化学と三菱ガス化学の子会社との間で、販売情報を「遮断」するための措置を講じること、などを条件に、両社の事業統合を承認することにした。