2004年06月04日
ポリ衛協、ポリ乳酸にも自主基準を制定
各種の試験で食品衛生上の安全性を確保へ
【カテゴリー】:環境/安全
【関連企業・団体】:厚生労働省、ポリオレフィン等衛生協議会

 ポリオレフィン等衛生協議会は、同協議会による自主基準対象の基ポリマーの一つに新たにポリ乳酸を加えることにした。
 
 これは、最近わが国でも普及に加速がつき始めたポリ乳酸(PLA)が食品容器包装材料に使用されても食品衛生上何ら問題を生じることがないよう安全・衛生上の規格・基準を制定することにしたもの。

すでに自主基準を設けているポリオレフィンやポリスチレンなど合計27種のポリマー同様に、厚生労働省等の関係行政機関の指導に基づく材質試験法や溶出試験法を制定するとともにPLA独自の規格・基準も設定し、それらをクリアしたものに対しては確認証明書を交付していくことにしている。

 乳酸自体の安全性はすでに国が公式に認めており、このため乳酸は食品添加物の一つとして広く一般に使用されている。しかしその重合体のポリマーとなると、わが国で上市されてまだ日が浅いため国にも食品衛生上の規格・基準がない。

一方、欧州には公的な基準が制定されており、また米国では企業が認可を申請すれば国が審査してその結果次第で食品容器包装にも使用を認める制度が整備されている。わが国でも厚生労働省などが国の基準を制定することを検討しているが、今回のポリ衛協の措置はそうした国の動きを先取りするものといえる。

 同協議会では、今回の自主基準の対象とするPLAについては「乳酸およびまたはラクチドを出発原料として得られる重合体」と規定、基ポリマーの規格として以下の5項目を制定している。

(1)D体含有量=6%以下(2)ラクチド含有量=0.3%以下(3)相対粘度=3.7〜4.3(4)灰分=0.1%以下(5)重金属の溶出量=ポリ衛協自主基準の溶出試験重金属の項に規定された値の2分の1以下--の5項目である。

 また、用途についても(1)冷蔵保存する場合を除き、発酵に用いた生菌を含んだ食品の容器には使用しない。また冷蔵保存でも納豆の容器には使用しない(2)アルカリで繰り返し洗浄する器具には使用しない--との2項目の制限を設け、安全性の確保に万全を期していくことにしている。