2006年02月02日
PETボトルのリサイクルの停滞続く
分別収集品の回収が依然として低迷
【カテゴリー】:環境/安全(原料/樹脂/化成品、実績/統計)
【関連企業・団体】:日本容器包装リサイクル協会

 使用済みPETボトルのリサイクル活動が引き続き停滞している。全国の市町村が一般家庭から分別収集して国のリサイクル指定法人である日本リサイクル協会に引き渡すことになっている使用済みPETボトルの数が依然として低水準にとどまっていることによる。このままいくと、今年度のリサイクル数量は前年度の実績と年初の目標の両方を大きく下回ることになる。また、多くのリサイクル事業者の経営を大きく揺るがすことにもなりかねない。
 
 日本容器包装リサイクル協会が1日に集計したところによると、同協会が容器包装リサイクル法に沿って昨年12月に全国の市町村から引き取った使用済みPETボトルの総数量は1万1,453トンで、前年同月の実績を17.2%下回った。これまでの最大引き取り数量を記録した04年8月の2万1,732トンに対比すると47.3%もの減少となる。
 また、05年4月から12月までの9ヶ月の総引き取り量は13万4,338トンで、これも前年同期の実績を下回って11.7%減となっている。同協会が国や市町村と情報交換して年初にまとめた05年度の総引き取り目標量は17万6,843トンとなっているが、このままではクリアできそうにない。従来は引き取り数量がつねに前年度の実績を上回るパターンが続いていたが、04年度終盤から市町村の中に引渡し量を減らすところが相次ぎ始めたため05年度はあらかじめ目標を前年度比7.8%減と低めに設定していた。しかし、実際にはそれをも下回るのが避けられなくなっているわけ。
 
 最大の要因は、分別収集と選別保管のコストをカバーするため中国に分別収集PETボトルを売却する市町村が相次ぐようになってきたことにある。
 環境省や経済産業省では懸命に自粛を呼びかけているが、今のところは目立った効果は現われていない。
 このため、国内における再商品化数量も大きく落ち込みつつある。12月の再商品化量は1万774トンで、前年同月を20.4%下回った。4月からの累計は11万3,845トンで、前年同期を2.4%下回っている。累計の前年比はまだ縮小幅が小さいが、これは年度始めの4月と5月の実績が前年を大幅に上回る規模となっていたことによるもの。夏場以降は落ち込みが激しく、このままいくと月間リサイクル量が1万トンの大台を割り込むことになりかねない。
 これには、世界でもめずらしい大型リサイクル設備(ボトルtoボトル)設備を保有していた帝人化成が原料不足で操業を停止したことが大きく影響している。また、他のリサイク事業者の中にも同じ事情から低率操業を余儀なくされるとろが出始めており、このため国が抜本的な対策を講じることが必要になりつつある。