2006年10月04日
新日石など6社、「日本GTL技術研究組合」設立
2012年の実用化目指す、高い「技術ポテンシャル」
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:コスモ石油、新日本石油、千代田化工建設

 国際石油開発、新日本石油、石油資源開発、コスモ石油、新日鉄エンジニアリング、千代田化工建設の6社は4日、東京・大手町の経団連会館で記者会見し「日本GTL技術研究組合」を設立して、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEG)と共同で、天然ガスの液体燃料化技術(GTL技術)の実証試験を開始すると発表した。
 
 研究期間は06〜10年の5年。6社の協力によって世界最高水準の液体燃料化技術を開発し、2012年の本格実用化を目指す。
 
 GTL技術とは、Gas−to−Liquidsの略。つまり天然ガスから化学反応によってナフサ、灯軽油などの石油製品を製造する技術で、世界各地に未利用のまま埋蔵されている天然ガスを石油製品と同じように利用することでエネルギー供給の多様化を実現する。
 
 海外では南アのサソールをはじめシェル、エクソンモービルなどのメジャー各社が商業化を急いでいる。
 
 天然ガスから、ナフサや灯軽油を製造するには(1)天然ガス中に含まれる炭酸ガスの合成技術(2)このガスを水素と一酸化炭素に分けFT合成する技術(3)最終製品化するための水素化分解技術と、大きく3つの技術が必要だが、千代田化工、新日鉄エンジ、新日石の3社はそれぞれの分野で特徴のある技術をもっているため、今後これらの技術をどう組み合わせハーモナイズさせるかがカギとなる。
 
 実証研究は、新潟県の新潟東港工業地帯に石油資源開発関連会社がもつ敷地を利用、日産500バレル規模の実証プラントでGTL技術の実証を行い、商業化へ向けたスケールアップ検討と開発に取り組む。
 
 日本の技術レベルについて会見した各社は「商業化は、やはり天然ガス田に近いところが立地上有利。当然海外での生産となるだろう」「日本の技術はこれまでの研究で、多少天然ガス中に炭酸ガスが多く含まれていても十分に対応できる。空気から酸素を取り出す工程も不要なので、技術的、経済的ポテンシャルは国際的に見ても高いと思う」などと語った。
 
 研究予算は5カ年間で総額360億円、このうちJOGMECからの補助金が3分の2の240億円、民間6社が120億円負担する。
 
 「日本GTL技術研究組合」の設立は10月下旬の予定。本部は東京都・港区の新日本石油虎ノ門ビル内に置き、理事長には寒河井 正・石油資源開発副社長が就任の予定。
 
ニュースリリース参照
http://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1159948679.doc


寒河井氏

記者会見する6社代表