2001年06月15日
三菱ガス化学、タイのポリアセタール設備を大幅増強へ
2003年1Qに4万5,000トン体制を確立
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:BASF、旭化成、デュポン、三菱エンジニアリングプラスチックス、三菱ガス化学

 三菱ガス化学は15日、海外の関連会社の一つであるタイポリアセタール(TPAC)社のポリアセタール樹脂(POM)設備を現在の年産2万トン能力から同4万5,000トン能力に拡大すると発表した。
 新たに同2万5,000トン設備を増設することにしたもので、今年末にマプタプート・ラヨン地区で工事に着手、2003年第1・四半期に完工の予定。第2・四半期から営業運転に入り、2005年にはフル稼働を目指す。設備投資金額は5,000万ドル(約60億円)となる見込み。
 販売は引き続き三菱エンジニアリングプラスチックスが担当、香港、シンガポール、台湾、北米の各地の販売拠点をフルに生かして世界全体の市場を拡大していくことにしている。
 今回大幅な増強に踏み切ることにしたTPACは、97年に同1万5,000トン設備で同樹脂の生産を開始、その直後にアジア経済危機に遭遇したものの、技術力とコスト競争力を生かして着実に生産・販売実績を伸ばし、昨年はデボトルネックによって同2万トン能力に設備を拡大したばかりところ。
 今回はさらに大幅な増強に踏み切ることにしたわけで、その理由について三菱ガス化学では、「POMの需要は世界全体で年率5%の成長を遂げており、今後も引き続き安定した伸びが見込める。しかも中国市場では10%ていどの成長が期待できるので、価格競争力を持つTPACが増強を実施する最適のタイミングと判断した」(梅村俊和・同社機能化学品カンパニー合成樹脂事業部長)と説明している。
 この結果、三菱ガス化学グループが保有するPOM設備は、同社四日市工場の同2万トンと韓国の合弁会社・韓国エンジニアリングプラスティックス(KEP)の同6万トンを合わせて同12万5,000トンとなる。
 同社によると、現在におけるPOMの世界全体の設備能力は年産約60万トン。トップメーカーはティコナ・ポリプラスチックグループで同31万トンで、以下はデュポンの同13万トン、三菱ガス化学グループの同10万トン、BASFの同7万トン、旭化成の同4万トン--などが続いているという。アジア地域における三菱ガス化学グループの設備シェアと販売シェアはいずれも25%ていどで第2位となっている。