2007年12月21日
松下、日立、キヤノンの薄型デスプレイパネル「今後の課題」
3社連合計画、国際競争の強化、どこまで
【カテゴリー】:経営(新製品/新技術)
【関連企業・団体】:キヤノン、日立製作所、松下電器産業

 今週、松下電器産業、日立製作所、キヤノンの薄型デスプレイパネルメーカー3社が提携し、連合で有機EL,液晶パネルの事業化を進める方向で調整しているとのニュースが流れた。国際競争力の強化を目指した動きであることはわかるが、画餅に終わるとの見方もある。

 年内にも発表される見通しだという。果たして具体化するかどうか。業界関係者の意見を聞いてみた。同3社が狙うところをみると、まず、大型のパネルでトップグループを維持したい松下だが、液晶分野でのライバルであるソニー、シャープや韓国のサムスンに対抗するための生産体制が必要だ。

 松下は10年ほど前、液晶パネルの研究を手掛けていた。最近は、プラズマパネルにシフトしてきたが40インチ以上の大型パネルでは、市場で液晶パネルが先行しているため改めてこれを手中にしたいわけである。

 この点、日立は全額出資の子会社・日立デスプレイズ(東京)で有機ELを研究する一方、日立の優れた技術・IPSを生かしIPSアルファテクノロジ(日立デスプレイ50%、松下32%、東芝16%の出資比率、千葉県茂原市))で大型液晶パネルを生産している。

 松下としてはIPS アルファテクノロジへの出資を増やし液晶パネルを本格的に入手する考え。そのうえこのところ商品化の進んだ有機EL パネルにも意欲的で日立デスプレイとの提携が見込まれる。日立の技術、松下の資金力が重視されているといえる。

 松下と東芝は合弁会社・東芝松下デスプレイテクノロジーで現在、液晶と有機ELパネルを生産している。これを3社提携に入れるのかどうかはまだ明らかでない。この辺が今後の調整の焦点になるものとみられている。

 キヤノンはかねてデスプレイパネル分野への進出を悲願としており、当面、デジタルカメラやビデオカメラの液晶パネルを内部調達、有機ELも手がける意向。有機ELでは製造設備メーカーのトッキを買収している。

 キヤノンの場合、ISPアルファテクノロジへの資本参加が有力とされる。業界関係者は「考え方としては、いいと思うが、どこが指導権を持つのかが最大の課題だ。また、東芝の扱いをどうするのか。パネルの技術面の調整はどうか」と注目しつつも、最終調整まで時間がかかるのではないかとみている。東芝はシャープとの提携が有力視されている。