2008年05月13日
三菱ケミカルHD・小林社長、中期経営計画「APTSIS 10」発表
2010年の営業利益1,900億円以上、ROA6%以上を目指す
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:三菱ケミカルホールディングス

 三菱ケミカルホールディングスの小林喜光社長は13日記者会見し、「成長・創造・飛躍」をうたった08ー10年の新中期経営計画「APTSIS 10」を発表した。
 
 まず2015年の経営目標として「売上高4兆円以上、営業利益4,00億円以上」をかかげ、この達成を前提として、新中計では「営業利益1,900億円以上(08年3月期1,250億円)」「ROA6%以上(同8.5%)」「CO2削減原単位20%以上の改善」を数値目標とした。
 
 さらに、これらの目標を達成するため「成長・創造・飛躍」をコンセプトとする基本戦略を打ち出した。
 
 成長戦略では、高機能化・高付加価値化・新陳代謝を徹底し、成長市場分野をターゲットに「オンリーワン」「ナンバーワン」事業の拡大を目指す。機能商品として、世界シェアトップの光記録メディアや重合トナー、高機能ポリエステルフィルムのほか、半導体関連材料や電子機器部材などをあげた。

 創造戦略では、中核となる「育成事業」として(1)固体照明(2)HEV用リチウムイオン電池材料(3)次世代ディスプレイ(4)自動車用ケミカルコンポーネント(5)バイオポリマー(6)有機太陽電池(7)個別化衣料の7事業をあげ、「次の成長ドライバー」として早期事業化を目指す。

 投資額としては3年間トータルで前中計の1.4倍の5,900億円、R&Dも同じく1.4倍の4,250億円を予定。ヘルスケアセグメントと機能商品セグメントには、それぞれ全体の32%に相当する設備投資・投融資と研究開発費を投入する。機能商品セグメントの設備投資・投融資額は2,100億円、研究開発費は970億円。ヘルスケアセグメントの設備投資・投融資額は750億円、研究開発費は2,490億円を計画している。
 
 ケミカルズとポリマーズの2部門で構成される化学品セグメントに対する総投資額は640億円で構成比は21%となる。

 いずれのセグメントにおいても、高機能・高付加価値製品の占める比率が増大している。機能商品やヘルスケア部門だけでなく、化学品セグメントでも、自動車用ケミカルコンポーネントやバイオポリマーなど環境にも配慮した新規材料の創出や各種PEの高機能化等で事業基盤を強化していく方針である。

 一方の飛躍戦略実現にも、積極的に資源を投入する。アライアンスやM&A等による事業拡大のため総額2,500億円を戦略的に投資していくとしている。PTA事業での他社との連携・協業化などもテーマの一つとなりそうだ。

 一方、海外展開については、機能商品や機能化学品のグローバル市場への進出等で海外売上比率を07年度の27%を向こう3年で30%に引き上げる。「海外売上高比率は、化学業界の中ではまだ低い方だが、医薬品や樹脂加工などドメスティックな事業を抱えているためやむを得ない。これからは高機能フィルムなどを中心に積極的に海外へ出て行くつもりだ」(小林社長)。今後は株主価値の向上を図り、配当性向は中期的な利益水準の30%以上を目安としていく。