2008年12月10日
三井化学ポリウレタンが減産を強化
鹿島のTDI設備を運休、大牟田のMDI装置も休止
【カテゴリー】:経営(原料/樹脂/化成品)
【関連企業・団体】:三井化学ポリウレタン

 三井化学ポリウレタンは10日、需要の縮小に対応してTDIの減産率を大幅に引き上げることにしたと発表した。

 同社は今年10月から、鹿島工場内の年産11万7,000トン設備と大牟田工場内の同12万トン設備の稼働率をともに50%に抑えてきたが、その後もフォーム用を中心とする需要、特に中国をはじめとするアジア地域の需要が低水準にとどまっていて短期間での回復が期待できなくなってきたため鹿島のプラントを12月20日をもって完全に休止することにした。
 大牟田の設備は引き続き50%に抑えていく。したがって、トータルの操業率は一気に25%まで低下することになる。同社始まっていらいの事態。同社では、取り敢えず来年3月末まで25%操業を継続する。その時点でなお需要の回復が見られない場合は、5月に予定している両工場の設備の定修・運休をともに前倒しする考え。
 
 最近になってにわかに顕在化してきたTDIの需要不振の最大の要因は、アジア諸国で製造されてる寝具や家具、マットレス等のTDI誘導製品の対米・対欧輸出が“リーマンショック”に端を発した世界同時不況の進行によって激減してきた点にあると言ってよさそう。それに伴い輸出価格も下降の一途をたどり、直近のCFR価格はトン当たり2,500ドルとなっている。10月末に比較すると500ドル、9月末に対比すると1,500ドルの値下がりで、同社によると適正レベルを500ドル強下回っているという。
 
 同社では、こうしたなかで無理な生産と輸出を続けると円高もあって採算割れに自らが一段と拍車をかけることになると判断し、減産幅を思い切って引き上げることにしたもの。
 最近は、同社のほかBASF、バイエル、ダウといった大手も相次いで大幅減産に踏み切っている。例えばBASFは、韓国の同14万トン設備と中国の同16万トン設備をともに全面的に運休、他の工場の設備も60〜70%に稼動を抑制している。世界全体の現在の稼働率も60〜70%になっていると見られている。
 救いは、ここにきてアジアの市況が下げ止まってきたことにある。TDI各社の相次ぐ大幅減産によって同地域全体の製品在庫が縮小し始めたことが大きいと同社では分析している。したがって、早ければ来年1月末の中国の旧正月休み明けから少しづつ需要が回復するのではないかと見る向きも現われはじめている。
 
 また三井化学ポリウレタンでは、MDIについても大幅な生産調整が必要と判断して大牟田工場内の同6万トン設備を12月に入って全面的に運休している。市場のニーズに対しては韓国の錦湖三井化学の同6万トン装置で対応していく。